<J1:浦和2-0川崎F>◇第26節◇19日◇等々力

 2-0とリードした後半ロスタイム。浦和は右サイドを崩され、川崎FのFWレナチーニョにGK山岸が振り切られかけたが、DF闘莉王(28)がゴールラインまで下がってカバリングし、クリア。「最後は体で止めにいく。それがサッカー」(闘莉王)。程なく6月27日神戸戦以来の完封勝利を告げる笛が、等々力のピッチに鳴り響いた。

 後半はとにかく守備に徹した。FWエジミウソンを残し、攻撃的なFW原口、MF梅崎までが、守備に走った。今季は攻撃を受けてからゴールを目指す昨季までの「カウンターサッカー」を捨て、自ら仕掛けるパスサッカーにスタイルを変えた。前半戦17試合はJ1史上初の4戦連続1-0勝利を達成し、平均失点は1。だが、7月18日大分戦から先月29日の神戸戦まで続いた7連敗中は、パス1本で突破を許す場面が増え、平均失点2・1。前半戦の勢いは影を潜めていた。

 神戸戦以降、フィンケ監督は守備の意識を高めるため、カウンターの意識を選手に植え付けていた。戸惑う選手もいた。前節山形戦で連敗は止まった。それでも試合前、選手に「川崎Fの選手はJで最も強力かもしれない」と守備への意識を念押しした。何度もピンチの芽を摘んだDF坪井は「守備のブロックをつくろうとみんなで意識して、良い方向にいった。こういうゲームもあっていいと思う」と話した。攻撃参加が持ち味の闘莉王も、この日は自重し「こういうやり方ならゼロでいける」。後半22分のFKも自ら蹴らず、MFポンテが直接決めた。

 1点リードの後半32分には、攻守に絶大な信頼を置く山田直ではなく「リードした時に中盤の運動量を増やすなら、最も価値のある選手を」と、同監督はリード時に「クローザー」として起用するDF堀之内を投入した。スタイルを貫くだけでなく、「結果」も求めて手に入れた2カ月ぶりの連勝で、浦和が貴重な勝ち点3を手に入れた。【今井恵太】