J2仙台FW平瀬智行(32)が19日、左手首を骨折していることを明かした。7月22日の湘南戦で負傷し8月下旬に検査で判明。手術に踏み切れば、約1カ月間の離脱を余儀なくされるが、昇格争いの佳境に備えて手術をシーズン終了後に先送りした。ギプスをはめて残り12試合に臨む。20日のホーム栃木戦では、神戸時代に戦力外通告された因縁の松田浩監督(49)と再戦。第1クールに続く得点で見返す決意だ。

 ギプスをはめていた理由は骨折だった。平瀬は「足じゃないからプレーできるけど、手をついたりすると痛い」と左手首をさすりながら説明した。7月の湘南戦。前半開始早々、相手FKが左手首を直撃した。痛みが引かないため、8月下旬に精密検査を受けて骨折と判明。同28日の練習からギプスで固定し、プレー中の悪化を防いでいる。

 医師から、骨折部位をボルト固定する手術を勧められたが「手術を受けたらリハビリも含めて1カ月は離脱しなきゃいけない。ボルトでダメなら骨の移植しかない状態だけど、残り12試合で休むとは言えないし、休んで昇格しても悔いが残る」と平瀬。判明後は「超音波骨折治療法」に励む。弱い超音波を折れた個所に照射。骨の活動を促進し治癒を早めるもので、平瀬は「これで骨がくっつけば。今は我慢して、昇格が決まった後に手術するよ」と覚悟を決めた。

 骨が折れていても、負けられないのが栃木戦だ。敵将の松田監督は神戸時代の元指揮官。06年こそ30試合に出場した平瀬だが、翌07年は3試合に減らされ、同年末に戦力外通告された。その因縁の相手に対し、第1クールの対戦(4月18日)では決勝弾をマーク。松田監督に人さし指を向けて喜び「平瀬健在」を見せつけた。「(元神戸で現岐阜の)松永監督もそうだし、元監督相手だと燃える。また点を取ってガッツポーズを決めたいね」。手負いの背番号14が、見返し弾の再現を宣言した。【木下淳】