コンサドーレ札幌のDF柴田慎吾(24)が、4日の熊本戦で今季初出場することが濃厚となった。チームは1日、札幌ドームサブグラウンドで紅白戦を行い、石崎監督はセンターバックに、ここまで未出場の柴田を抜てきした。DF趙晟桓(27)が左かかと痛のため熊本戦欠場が確定し、吉弘充志(24)も累積警告で出場停止。守備の柱を欠く緊急事態を、ハードマークが売りの背番3起用で乗り切る構えだ。

 柴田の“開幕”が現実味を帯びてきた。リーグ残り9試合と大詰めとなった状況でのチャンス到来だが、時期は関係ない。「(GKの)タカさん(高原)も出られないときの努力が、今になって結果に出ている。練習から集中して、試合で使ってもらえるように頑張るだけ」。第3GKから一気にレギュラーを勝ち取った新守護神の奮闘が、柴田の心に火をつけた。

 因縁の熊本で、生まれ変わった姿をみせる覚悟だ。始動したグアムキャンプでは常に主力組のセンターバックだったが、2次キャンプ地の熊本入り後、サブ組に降格した。同キャンプ最初の実戦となった2月14日の清水との練習試合でポジショニングミス、カバリング不足を連発したことが原因だった。「使ってもらえないのは原因があったから。自分には足りないことが多すぎた」。それからの8カ月間、DFとしての自分を見つめ直した。

 主力組が遠征のため移動した後も延々と続くサブ組の練習、出られる試合は日帰り遠征も含まれる過酷なサテライトリーグ。新人だった昨季は4月12日の磐田戦でゴールを決め、観戦した日本代表の岡田武史監督(53)が「いい選手だ」と褒めた男が、一からの出直しを図った。

 07年昇格に貢献した曽田にポジショニング理論を聞き、三浦コーチの怒号も素直に受け入れながら、1つずつ課題をクリアしてきた。「何事も黙々と積み重ねることで成長することが分かった」。昨季は高さを生かしたDFでチームメートに「ティラノサウルス」と呼ばれた背番3が、時を超え進化した姿を見せる。【永野高輔】