J2降格が決まった大分が、Jリーグに約2億円を借金する方向で準備を進めていることが1日、分かった。経営難で資金繰りが悪化しているためで、Jリーグが試合開催が危ぶまれるクラブに融資する「公式試合安定開催基金」を利用する予定で、今後、正式に申し込む。経営諮問委員会の審議を経て、早ければ17日のJリーグ理事会で承認される。融資を受けることになればJ1クラブでは初のケースとなる。

 関係者によると、大分の溝畑宏社長(49)は先週、Jリーグ事務局を訪れて、約2億円の融資を受けることについて相談したという。その際、Jリーグ側からは「公式試合安定開催基金」から融資を受けたいとする正式な申し込みとともに、再建計画書や返済計画書を提出するように求められたという。

 Jリーグの幹部は「11月上旬に正式な文書の提出があるだろう。計画通りに返済できなければ、J2で首位になっても(J1に)上がれないこともある」と話した。大分が正式に申し込めば、Jリーグの経営諮問委員会で審議される。返済計画などについて問題がないと判断されれば、早ければ17日の理事会で承認される見通しとなっている。

 同基金は、試合開催が危ぶまれるクラブに、Jリーグが融資するもので、05年にはJ2草津が5000万円、現在はJ2岐阜が5000万円を借りている。だがJ1を経験したクラブが借りるということになれば史上初。期限までに返済できなければ、J2で優勝しても昇格できない可能性もある。

 大分の08年度の営業収入はJ1の18クラブで16番目の21億8400万円。J2の平均は約10億円で、仮に融資を受けられても厳しい状況に変わりはない。推定7億円の累積赤字を抱えるクラブの経営を維持しつつ、目標の「1年でJ1復帰」を実現するためにも、大幅な人件費の圧縮はもちろん、血のにじむような経営努力が避けられない状況だ。