傷だらけの男たちが強行出場を志願した。3日、次節柏戦(8日=柏)に向け練習を再開したJ1清水のDF岩下敬輔(23)が、10月31日の天皇杯3回戦札幌戦で負傷交代の原因になった右足首負傷のほか、左手甲を骨折していたことが明らかになった。岩下は出場を希望している。

 岩下は天皇杯3回戦の札幌戦の前半18分に右足首を痛め負傷交代した。しかし、それよりも前から別の場所に痛みを覚えていた。「手を変についたんですかね?

 とりあえずめちゃくちゃ痛かった」。前半開始8分に相手選手と競り合った際、地面を支えた左手の甲を骨折していたのだった。ねんざと診断された右足首の痛みもあり、この日は別メニューで調整した。しかし、気丈に「明日までは別メニューだけど(柏戦は)全然問題ない」と次節出場を志願した。

 小、中学生の時にも左腕をたびたび骨折した。しかし「ギプスを巻きながら試合に出ましたよ。今でもはっきり覚えているのは小学校5年生の時には点も取りましたからね」。Jリーグはギプス着用での出場は認められていないこともあり、患部には簡易固定具すら着けていない。「テーピングで軽く固定はしていましたけど、あまりみんなに心配させたくない」と、あえて軽傷を装った。

 右足首の状態も万全ではない。患部に腫れが残りスパイクは履けない状態だ。それでも「(試合を)やれるかどうかじゃない。どうしてもやりたい」と言い切った。首位川崎Fを勝ち点差5で追う、リーグ戦も残り4戦。逆転優勝に、もう1つの負けも許されない。「天皇杯で次につながる試合ができた。だからこそ、試合に出たいんです」。頂点を目指す気持ちは折れていない。【為田聡史】