浦和がFW高原直泰(30)を放出する方針を固めたことが16日、明らかになった。高原とは来季まで1年間の契約期間を残しているが、続投内定となったフォルカー・フィンケ監督(61)の「チーム若返り」への強い意向を受けて、事実上、主戦力としての来季構想から外す可能性が高くなった。クラブ側は積極的に若手の即戦力に獲得オファーを出しており、戦力補強の見通しが立ち次第、高原に他クラブへの移籍を勧めることになりそうだ。

 世代交代の波は、国内外で実績のある高原にとっても、例外ではなかった。フィンケ監督は開幕当初、先発で起用していた高原を、9月19日の川崎F戦以降はベンチ要員にした。FWエジミウソンが出場停止となった10月25日の大宮戦こそフル出場させたが、最近6試合中、5試合が途中出場。本職のFWではなく、主に右サイドアタッカーとして考え、前線でのキープ力を評価して試合終盤に守備要員で投入するケースも増えた。指揮官の若手育成を重視する方針に変更はなく、現在、来季の先発構想から外れている高原を放出する方向性を示しているという。

 巻き返しを図る来季に向け、浦和は広島MF柏木をはじめ、大分MF金崎、C大阪MF香川ら日本代表クラスの他Jクラブの若手注目株に対し、次々と獲得オファーを出している。新外国人選手を含め、戦力補強が成功すれば、フィンケ監督は高原のスタメン起用をさらに控えることは必至な状況。来季チーム編成の見通しが立った時点で、クラブ側は高原にチーム事情と来季編成について説明し、他クラブ移籍を勧める方針となった。

 10年南アフリカW杯出場を目指している高原は08年1月、フランクフルト(ドイツ)からアジア王者だった浦和へと移籍した。Jリーグでゴール量産という結果を残し、日本代表のエースとして活躍するつもりだった。しかし、1年目はオフ期間のコンディション調整が足りずにリーグ6得点。シーズンを通じて良いパフォーマンスを披露することができなかった。

 2年目の今季は、徹底した体調管理とコンディション調整で臨んだが、今度はフィンケ監督の戦術やサッカー観の違い、推し進める若手育成を重視した起用法の影響でスタメン落ちの憂き目にあい、今季これまでリーグ4得点止まり。好成績を残せず、昨年6月以降、日本代表に復帰できていない。

 フィンケ監督が正式に構想外を決めた時点で、高原はW杯イヤーに大きな決断を迫られることになる。来季以降もスタメンを外れることを受け入れて浦和に残留するのか、あるいは他クラブ移籍を決心するのか。06-07年ブンデスリーガでリーグ11得点を挙げ、07年アジア杯で得点王(4得点)にも輝くなど実績、実力は十分。高原が移籍を決断した場合、国内外からオファーが届く可能性は高い。今オフの高原の動向に大きな注目が集まりそうだ。