<J1:G大阪2-0清水>◇第32節◇21日◇アウスタ

 清水が「終戦」を迎えた。ホームでG大阪と対し0-2で敗れ、10月3日(広島戦、1△1)に10年ぶりの首位に立ってから、泥沼の4連敗。6位に転落し、首位鹿島との勝ち点差は10、リーグ戦でのACL出場権がかかる3位G大阪との勝ち点差は7となり、リーグ残り2戦での逆転は不可能になった。

 2万人を超えるサポーターの期待に応えることはできなかった。敗戦後、うなだれながら、スタンドにあいさつする選手たちを長谷川監督は、口を一文字に結び見つめることしかできなかった。試合3日前から練習を完全非公開にする厳戒態勢で臨んだが、結果はリーグ2戦連続無得点での完封負けだった。

 長谷川監督

 もうちょっとチーム状態がよかったら、いろいろな形で余裕をもって試合ができたと思う。1つ歯車が狂うと戻すのが大変。首位に立ってから1つボタンをかけ違えて、なかなか修正できずにいる。

 屈辱的な失点シーンだった。前半14分、昨季まで清水に在籍していたG大阪DF高木のアシストでFWルーカスに先制弾を決められた。さらに、後半25分には、こちらも清水に在籍経験があるFWチョに追加点を許した。リーグ16戦ぶりに先発したGK西部は「よくなりかけたところで失点してしまった。2点目は(チョ)ジェジンも強かったけど、ぼくのミスです」と肩を落とした。

 リーグ4連敗は長谷川体制では初めてで、クラブとしても5年ぶり。大詰めの大失速でリーグ2戦を残し、今季も4位以下が確定した。長谷川監督は「気持ちを切り替えてやっていくしかない。ACLに関しては天皇杯でもチャンスはある」と気丈に振る舞った。1つの挑戦は終わった。もう1つの挑戦、12月12日の天皇杯準々決勝(対新潟=アウスタ)までに、ボタンをかけ直せるのだろうか。【為田聡史】