全国高校サッカー選手権で準優勝した青森山田のMF柴崎岳(2年)が20日、同校でJ1鹿島と仮契約を交わした。正式契約は1年後で、来年2月からの入団となる。青森山田・黒田剛監督(39)の教え子では、15人目のプロ選手になることが決定。同校はもちろん青森県内が、選手権準優勝に続く朗報に沸いた。

 青森県のサッカー界にとって“歴史的場面”となった。鹿島から椎本邦一強化部スカウト担当部長(51)とともに、熊谷浩二スカウト(34)が青森山田を訪れた。熊谷スカウトは青森県十和田市出身で、三本木農から鹿島入りしMFで活躍。木村隆文校長(70)にあいさつした後、柴崎と無事、仮契約を交わした。

 「柴崎君は能力も意識の高さもある。彼の入団が決まって本当にうれしい」と熊谷スカウトは笑顔を見せた。「うちの選手としてはもちろん、日本代表など高い目標に向かって頑張ってほしい。同じ青森人として応援したい」。95年ワールドユースで中田英寿らとベスト8に進出した実績を持つ熊谷スカウトが、柴崎に大きな期待を寄せた。

 黒田監督は「本人の夢だったプロが決まって、ほっとした。あと1年、さらに成長させて鹿島に送り出したい」と話した。柴崎が入団すれば、教え子で15人目のプロ選手誕生。「いいペースで選手が育ってきた」と感慨深げ。「鹿島は選手育成の基盤がしっかりしている。何の心配もない」と力を込めた。

 仮契約には、野辺地町から駆けつけた柴崎の母美佐子さん(47)も同席。やはり「ほっとしました」と笑顔を見せた。「あと1年、目の前の練習、試合をしっかりやってほしい。親として言うべき時は言い、見守るべき時は見守る。厳しい指導をしてくれた黒田監督に、あと1年よろしくお願いしたいです」と母親の心境を語った。「Jリーガー柴崎」が実質的にスタートした。【北村宏平】