J1清水は始動3日目となった27日、1月の三保海岸の風物詩「砂浜ダッシュ」を行った。「地獄を見る」とされるハードトレーニングで、目立ったのは今季、千葉から加入したDFエディ・ボスナー(29)。50メートル×15本すべてでグループ首位の快走に、長谷川健太監督(44)から疑惑の声が聞かれるなど大騒ぎ!?

 だった。

 ボスナーが191センチの巨体を揺らしながら力強い足取りで砂浜を駆け抜けた。グループで同走したDF児玉、大卒新人GK碓井を寄せ付けず15戦全勝でフィニッシュした。「ここまでのハードなメニューは初めてだけど、走るのは得意なほうだからね」と満足顔。砂浜にもかかわらず、50メートルのタイムは最速7・5秒。計測していた長谷川監督が「エディ(ボスナー)はフライングしてるんじゃないの?」と、疑うほどのスピードだった。

 選手たちが地獄のメニューと称する砂浜ダッシュを苦にしないのは「ビーチの近くで生まれ育ったからね。自宅から自転車でよく行っていたよ」と説明した。オーストラリア出身のボスナーが育ったシドニーの自宅は、1キロに及ぶ黄金の砂で世界的に有名なボンダイビーチ近郊。風光明媚(めいび)な三保のながめはすっかりお気に入りで「富士山が見えるので景色がいい。ぼくは『ミスター・フジ』と呼んでいるよ」と、敬意を表した。

 ビーチで鍛えたスピードは定位置確保へ好材料だ。長谷川監督は「あとはポジショニングと対応力だね」と、開幕までに戦術面をチェックする。6カ国13クラブを渡り歩いてきただけに、新天地での順応も期待できそうだ。【為田聡史】