【グアム29日=永野高輔】スリムになった近藤が石崎サッカーに融合する。J2札幌は30日、グアムでJ1大宮と10年初の練習試合に臨む。今キャンプ10日目のこの日、新加入FW近藤祐介(25)は、胃痛と腹痛を訴えながらも出場を志願。体脂肪率が12%以上の選手に科される4部練習、夜間の自主的な「5部調整」、さらに食事メニュー調整などで、2キロの減量に成功した。徹底的に絞り込み、キレを増した大型ストライカーが初実戦での爆発を誓った。

 近藤バズーカで10年札幌1号弾を決める。この日午後練習の居残りシュート練習で、近藤は宮沢、上原らチームメートをしのぐ重みと速さを兼備した弾丸シュートを連発。石崎監督を「すごいシュートだよね」とうならせた。前日まで抱えていた腹下しと、この日発症した胃痛の影響はあったが30日の大宮戦に関しては「試合は出たいんです」と志願。満身創痍(そうい)ながら先発出場が濃厚となった。

 太っちょFWとは言わせない。本領は実戦で発揮するのが近藤流だ。この日の午前練習で行われたフィジカルテストは、あえなく最初に離脱。1人とぼとぼと集団から離れ座り込んだ。1人輪から離れ、うずくまる情けない姿をさらしたものの、それでも「内臓君がどうか心配ですが試合はやります」と強気にピッチでの汚名返上を誓った。

 今キャンプではカレーライスに振り回された。体脂肪率12%以上の選手は自主的に食事メニューから肉や油ものを避けるよう指示が出されていた。13%以上あった近藤はキャンプ序盤、ご飯と野菜を主体としたダイエットメニューを敢行。「こんなに3食野菜を食べるのは生まれて初めて」というほどの節制を試みた。

 カレーライスも肉を避ければいけると臨んだが、これが誤りだった。「体重が数グラムずつ増えていた」という。油を使った料理で、香辛料を使っていたことも影響して多量に米を摂取していた。一向に効果が出ない状況を踏まえ作戦を変更。オフ明けの27日から、カレーをやめ、我慢していた肉と魚主体の食事に変えると、不思議なことに2日で2キロ減り、86キロへとスピード減量に成功した。

 体脂肪が多い選手に科される4部練習にもまじめに参加し、顔もひと回り小さく引き締まった。「今、すごく動けてます。ただ、もっとやせたらオレ消えてなくなっちゃうかも」とトークも快調。元イタリア代表FWビエリ好きの大型ストライカーが、弾丸シュートで開幕スタメンへの1歩を踏み出す。