J1清水の“超攻撃的”新システムが今季初の対外試合で、いきなり機能した。静岡産大との練習試合(35分×4本)で、29日に長谷川健太監督(44)が採用した「4-3-3」の新布陣を実戦初披露。3トップの右サイドで先発した藤本淳吾(25)が、主力組の全4ゴールに絡む活躍を見せれば、MF枝村匠馬(23)も2列目から攻め上がり、今季チーム初ゴールを決めた。大学生相手とはいえ終始、攻めまくっての大量得点&完封勝利。早くも課題の得点力アップが見えてきた。

 躍動感が生まれた。スタンドを埋めた1100人の前で“新生エスパルス”が輝いた。FWにコンバートされた藤本が、高い位置でボールを受けて最短距離でゴールに迫る。1本目の24分に枝村のチーム今季第1号の起点になると、2本目の7分には相手GKのこぼれ球を左足で合わせ初ゴール。同20分には相手DFをかわして2点目。3分後には、得意のFKがバーを直撃。詰めていたFW長沢の得点を演出した。「相手が大学生ですからね。でも、やり始めたばかりにしてはスムーズにできた」と満足そうに言い切った。

 小野の加入で超激戦区となった中盤も、新システムで活性化された。危機感を漂わせた枝村は積極的に攻め上がり、豪快な先制点につなげた。「まあ普通です。常に高い位置でプレーできた」と淡々と振り返った。新布陣では、1ボランチとなって守備の負担が増すMF伊東は「そんなに驚きはなかった。空いたスペースのカバーは必要だけど、それぞれの選手が自分のプレーするエリアを少しずつ広げていけばいい」と手応えを感じた様子だった。

 攻撃は最大の防御なり-の言葉を全員で証明した。リスク覚悟で前がかりになっていても、ボールを失うのが敵陣の深い位置なら、リスクは少ない。持ち前の運動量で奪い返せばいい。まずは無難なスタートとなった今季初陣。「みんな非常に高い意識でやってくれた。今日は相手に、ほとんどシュート打たせなかったからね」と長谷川監督がニヤリと笑った。【大石健司】