J1仙台が「天国への階段」を駆け上がった。延岡キャンプ5日目の6日、西階陸上競技場の客席を利用した階段トレーニングを実施。李昌■フィジカルコーチ(PC=36)が考案した“韓流”の瞬発系トレで、跳躍力や敏しょう性を養った。前任のKリーグ大田時代には、韓国代表DFキム・ヒョンイル(25)の成長に一役買った練習法。ベガルタ戦士の下半身が、また「J1仕様」に近づいた。

 20分間走を終えた仙台イレブンが、ピッチを出た。午前練習が始まってから1時間もたっていない。延岡キャンプ初の週末。駆け付けた観客から「もう終わり~?」と声が出たが、選手はその客席に上がっていった。階段トレの始まりだ。細かいステップを刻んで駆け上がったり、サイドステップを挟んだり。垂直跳びの要領で2~4段を飛ばすメニューなど8種類×3本を消化。汗をしたたらせながら階段を24往復した。

 磐田から加入した元日本代表MF太田は「ジュビロでも経験がない。仙台の練習の方がキツイですけど、今日は瞬発力が養われたと思う」。元柏のDF鎌田は「足がパンパン。明日が怖い…。それでも、ただ走るだけで終わるチームが多い中、瞬発系の練習も入ったことで総合的に良くなる」と納得した。チーム随一の跳躍力を誇るFW中原も「去年とは、違う意味でキツイ。これだけやれば強くなりますよ」と実感する。

 仙台では異例の階段ダッシュを取り入れたのが、新任の李PCだ。アルゼンチン研修を終えて韓国に戻った後の07年、崇実大学校時代に発案。Kリーグの大田で成熟させた。フィジカルで日本人を上回る韓国で「かなりやった練習。導入後、アジリティー(敏しょう性)が伸びた。選手の動きが目に見えて変わった」という自慢の練習法。元神戸の韓国代表MFキム・ナミルやグラディエーター(古代ローマの剣闘士)と呼ばれるDFキム・ヒョンイルを育てた李PC。特にヒョンイルは、階段トレを一因に韓国代表に上り詰めた。

 これでJ1に通用する馬力を得られれば-。まさに「天国への階段」を上ったことになる。【木下淳】※■=火ヘンに華