<J2:横浜FC3-0草津>◇第3節◇21日◇正田

 J2横浜FCのFW大黒将志(29)が、Jリーグ今季第1号のハットトリックで、W杯南アフリカ大会の日本代表に名乗りをあげた。前半7分に移籍初得点を決めると、同27分、後半34分にも加点。G大阪時代の05年以来5季ぶりの3得点で、チームをの快勝に導いた。横浜FCは3試合連続完封で、クラブ史上初の開幕3連勝。J1昇格を決めた06年以来4年ぶりの首位に立った。

 大黒が格の違いを見せつけた。前半7分、DF柳沢のクロスに合わせて先制点を奪うと、MF高地のFKを頭で2点目。3点目はG大阪でも一緒だったMF寺田のスルーパスに反応して決めた。「さすが」と岸野監督がうなれば、主将のFWカズも「オグリは得点能力が高い」。大黒は「もっと良くなるし、もっと点を取りたい」と話した。

 近づくW杯。大黒は「南アフリカに行きたい」と言い切った。4年前のドイツ大会は3試合に出場し、いずれも途中出場で無得点。通算出場時間も30分に終わった。W杯でリベンジしたい思いは強い。「呼ばれたらぜひ行きたい」と言った。

 岡田監督には08年に1度呼ばれているが、それが最後。チームの低迷もあって代表から遠ざかった。しかし、頭の中には常に代表がある。「レベル的には今の代表に負けていない」「チャンスが少ないJ2で得点するのはJ1より難しい」「4年前よりも進化している」。日本で屈指のストライカーだという自信と誇りを、次々と口にした。

 もちろん、W杯出場が難しいことは分かっている。J1移籍がかなわずに横浜FC入りした時点で、最大の目標は「J1昇格」に変わっている。「昇格のためには、さらに良くなる必要がある」と3連勝同士の対戦となる次節の徳島戦を意識して言った。それでも、W杯をあきらめたわけではない。青く染まったサポーター席からの「まだ代表間に合うぞ!」の声援に、大黒はニッコリとほほえみ、手をあげて応えた。【荻島弘一】