波に乗りきれないリーグ戦の流れを、ガラッと変える選手よ、出てこい!

 J1山形小林伸二監督(49)が29日、31日開始のナビスコ杯で、メンバーの大幅入れ替えを示唆した。「元気のいいのを使う」と話し、MF下村東美(29)、増田誓志(24)らの先発起用をにおわせた。同杯で活躍すれば、リーグ戦の出場機会にも直結する。“プチ・ターンオーバー制”を敷き、チームの底上げと、主力の疲労除去の両立を図る。

 まもなく4月だというのに、時々吹雪で視界が遮られた、この日の練習場。鹿島戦に出場した主力組が、肩をすぼめて静かにランニングしたのとは対照的に“この時”を待っていたサブ組が、ハイテンションで、ボールワークに取り組む。「今日の練習で(31日、ナビスコ杯横浜戦の)メンバーを決めるって、言ったからね」。小林監督は、サブ組のアピール合戦に、目を細めた。

 J1初挑戦の昨季は、ナビスコ杯、天皇杯ともに、基本的にリーグ戦の主力メンバーで戦った。J1の試合を1試合でも多くこなすことで、経験値を積ませる選択だったが、疲労蓄積でリーグ終盤の息切れにもつながった。「今年は(選手層が)厚くなったからね」という指揮官は、今季はナビスコ杯に多くの選手を起用し、チーム全体の底上げを図るつもりだ。

 11人全員の入れ替えまではいかないが、指揮官は「ボランチ、サイドとかは元気な選手がいるから」と話し、下村、増田の先発起用を示唆。さらに、成長著しいMF太田、DF山田も好調をキープしている。イレブンが、素質を認めるFWハンも、リーグ戦出場を見据えて、カップ戦での活躍を誓っている。指揮官は「調子のいい選手を使って、新しい発見や(チームへの)刺激になれば」と、サブ組の下克上を期待する。

 昨季、同杯で2ゴール1アシストとブレークしたMF広瀬が、リーグ戦先発を果たした好例がある。同じようにチャンスをつかもうと、サブ組の気合が高まるのも無理はない。メンバーを入れ替えても「経験を積ませるのではなく、勝ちにこだわる。そうすればチームのレベルアップができる」と指揮官。リーグ戦の苦境を脱するためにも、カップ戦勝利とサブ組の突き上げに、期待した。【山崎安昭】