<ナビスコ杯:浦和3-1神戸>◇14日◇1次リーグ◇B組◇ホームズ

 浦和FW高原直泰(30)が、今季公式戦初ゴールで敗色濃厚だったチームを救った。神戸戦(ホームズ)の後半17分から途中出場。その4分後、ゴール前で味方の浮き球パスを左足ボレーで同点弾をたたき込んだ。昨年8月29日の同カード同会場で決めて以来の得点。世代交代の中、出場機会に恵まれないベテランの一撃でチームは勢いを取り戻し、3-1で今季公式戦初の逆転勝ちを収めた。

 プロ13年目の経験と衰えることのないゴールへの意欲を、凝縮させた。1点を追う後半21分。高原は味方の左サイド突破に合わせてペナルティーエリア内に駆け込み、左クロスをFWエジミウソンが落とすと見越して待ち構えた。狙い通り、浮き球が足元へ送られると迷うことなく左足でボレー。逆転の口火を切る一撃を突き刺した。「自分を使ってくれたし、そのために今まで準備してきたわけだから」と胸を張った。

 フィンケ監督が就任した昨季以降、チームが若返りを図る中で事実上、先発構想から外れた。今季の出場はこれまで、途中出場した3月21日リーグ山形戦(NDスタ)でのわずか11分間のみ。それでも、出番に備えて調子を維持した。FW高崎ら若手に前線での動き方をアドバイスし、「今年の自分のテーマは、どんな状況でもいい状態を維持すること。プラスアルファが必要になる。プロとしてやってきたことをやる」と、全体練習後も毎日欠かさずにピッチ外周を走り込んできた。

 ベテランの姿勢が選手たちの刺激と手本となっている。フィンケ監督は、高原が昨季の神戸戦2試合でいずれもゴールの結果を出したことを踏まえ「(高原の起用は)私もゲンを担ぐ。途中から起用すれば点を取ってくれると思っていた。後半は強いメンタリティーを持って戦った」と評価した。現在2位のリーグ戦とともに、戦力の底上げを狙うナビスコ杯予選でも1勝1分け。浦和が主力と控えの一体感を象徴する一戦で、勢いを増した。【山下健二郎】