淡泊な山形の攻撃が厚みを増す!

 J1山形は21日、攻撃面の戦術トレを行った。これまでは、シュート練習にほとんど加わらなかったDF陣も、フィニッシュの精度を高めるべく全員参加。FW田代有三(27)古橋達弥(29)と連動し、相手ゴールを襲う手はずを整えた。

 山形の生命線「サイド攻撃」の、徹底確認-。両サイドから交互にクロスを上げ、中央で待ちかまえる2人が確実にゴールを決める。形は調整期間のいつものメニューだが、中央で待ち構える顔ぶれが珍しい。ツートップの古橋、田代が、センターバックの西河、石井とそれぞれコンビを組み、ゴールネットを揺らし続けた。

 これまで攻撃の流れを確認するメニューでは、西河、石井の2人は、最後方から前方へパスを出すことはあっても、自ら前線に顔を出すことはなかった。だがこの日は、ペナルティーエリア内でのシュート練習に、30分以上も時間を費やす。その理由は、17日横浜戦の反省だ。DF石川のスルーパスに反応した西河が、相手GKと1対1の絶好機を作ったが、得点に結びつかなかった。DF陣にもフィニッシュに磨きをかけさせた小林監督は「試合の中で(DFが打つ)場面があったからね。何でも準備だよ」と意図を明かした。

 いつもは中央の攻撃陣に、正確なクロスを入れるトレーニングを積むサイドバックも、この日は、ところ構わずシュートコースが見えたら「即シュート」を課された。試合でほとんどシュートを記録されたことのないDF宮本は「普段打たない人が打つと、相手も驚くだろうし(チームに)迫力がつく」。あわよくば、24日アウェー京都戦で、自身J13季目での初ゴールを狙うつもりだ。

 リーグ戦7試合を消化し、シュート数「63」で最少の山形。単発に終わりがちだった攻撃を、広範囲から複数の選手がゴールを狙い撃ち、こぼれ球を拾ってはまた打ち込む-、という波状攻撃に進化させたい小林監督。相手の攻撃にひたすら我慢する“草食系スタイル”から、野性味を出し、ガツガツとゴールを襲う“肉食系”へと、変ぼうを遂げるはずだ。【山崎安昭】