Jリーグが、12年から日本版プレミアリーグの発足を目指し、本格的な検討を始めることが28日、明らかになった。資金面などで高い基準を満たす8から10クラブを選抜し、J1より上のリーグを組織。レベルの高い試合を展開することで、リーグ全体を活性化させる狙い。クラブ数を増やし続けてきたJリーグだが、12年にも到達する40クラブで拡大路線に区切りをつけ、リーグ再編に乗り出す。29日、大東和美チェアマン(61)のもとでスタートする新体制にとって、プレミアリーグ発足は大きな命題となる。

 日本版のプレミアリーグ構想は、これまでJリーグ内部や、一部のクラブ社長、GMなどの間で意見を交換してきた。だが、29日、大東チェアマンの正式就任を機として、本格的な検討に入る。すでに基本構想を記した文書が準備されており、就任と同時に新チェアマンへ示される。8月上旬に同チェアマンが行う所信表明に、同構想が盛り込まれる可能性もある。

 基本構想はトップレベルの格上げだ。Jクラブの中で、資金面などで高い基準を満たす8から10クラブを選抜して国内トップのリーグを形成する。例えば、上位4チームのレギュラークラスは年俸1億円以上を目安にするなどの案もある。人気、実力を兼ね備えた選手を集めることで、リーグ全体の人気を高め、利益に結び付けたい考え。サッカー少年があこがれ、夢の持てる存在を目指す。

 93年に10クラブでスタートしたJリーグは、現在37まで増えた。増加により地域に根ざした身近なクラブは増えたものの、エンターテインメント性は薄れ、リーグ発足時ほど注目されなくなった。

 またクラブ間で、経営規模や目標も大きな差があるため、リーグ全体を同じ方針で運営することに限界も出てきた。12年には40クラブに達する見込みで、拡大路線には一区切りとなる。その後はリーグ再編が必須となっている。底辺拡大の指導役となってきた鬼武健二前チェアマン(71)は「40クラブまで増えた後のリーグのあり方については、今から考えておく必要がある」と話している。

 経営難に苦しむクラブの救済にもつなげたい考えだ。Jリーグは07年から11年までの5年にわたり、スカパー!と契約して年間50億円の放送権料を得ている。今後、契約更新の交渉が本格化するが、マンネリ化しつつある現状のままでは厳しい。新たな契約が始まる12年に「プレミアリーグ」が発足できれば、テレビ局側にとっても大きな魅力となる。好条件で契約できれば、各クラブへの配分金も大きくなる。

 ただ、プレミア入りできないクラブから反発を招く可能性はある。また現状の経済状況で、思惑通りの収入につながるかという危惧(きぐ)もある。これら問題点をクリアできれば、「地域密着」と「高レベルのサッカー」という両輪でリーグ運営ができる。