<J1:浦和1-1鹿島>◇第21節◇28日◇埼玉

 次世代を担う自覚が、悔しさを倍増させた。浦和MF細貝萌(24)は、勝利を目前に取りこぼした責任を、自分の背中に負った。「レッズの選手としての存在感を示せなかったのが残念。自分たちのリズムでボールを保持できなかった」。J王者の鹿島を相手に勝ち点1。リーグ中位にあえぐ今のチーム状態では精いっぱいの結果ともいえたが、手応えを感じる余裕はなかった。

 27日、14年W杯ブラジル大会へ新たな1歩を踏み出す日本代表に選出された。若年層の代表歴があり、08年北京五輪にも出場したが、A代表の招集は初めて。「今までのプレーで選んでもらえたと思うし、今日はいつも通りにやろう」と自分に言い聞かせた。

 序盤から鹿島の強力攻撃陣に体を投げ出した。前半32分にカウンター攻撃を食らうと、敵陣から全速力で戻りながら、ボールを保持する相手3選手を次々と追い回してピンチを防いだ。後半3分には自ら左サイドをドリブルで切れ込み、GK正面へシュート。視察に訪れた原博実代表監督代行を「体のパワー、勢いがある」とうならせた。

 浦和は8月最後の3戦で1勝2分けと復調しつつあるが、リーグ3位の目標は依然としてはるか先。「この先、まだまだ厳しい。反省点がいっぱいある」と表情を険しくした細貝。日本代表でひと皮むけることは、もはや自分だけの課題ではない。【山下健二郎】