<J1:鹿島3-0大宮>◇第23節◇18日◇カシマ

 鹿島が大宮に快勝して2位に浮上、名古屋に勝ち点5差とした。

 エースの爆発で、追撃態勢が整った。大宮戦の後半13分。すでに2得点の鹿島FWマルキーニョス(34)は、後方のMFフェリペ・ガブリエルからのリターンパスを受けると、素早く反転。殺到する3人のDFを一瞬で置き去りにし、右足を振り抜いた。「味方との連係で取れたので、すごくいいゴールだったと思う」。正確を極めたシュートは、左ポストの内側をたたき、ゴール内に転がった。

 Jリーグ10年目のストライカーにとって、意外にも初のハットトリック。「正直うれしい。いつもハット目指してプレーしているから。2点目を取った後、冷静にやっていれば、もっと早く3点目が取れたと思うけどね」と笑った。

 右太もものケガで離脱した8月には、チームはリーグ5試合未勝利とスランプに陥った。エースが戻った9月は2連勝。マルキーニョスが得点した試合では、これで今季6勝1分けと無敗記録も続いている。オリベイラ監督は「彼がいるかいないかで、相手の心理状態も変わる。彼がいいプレーをすると、味方にも自信が芽生える」と影響力の大きさを強調した。

 暑さと過密日程にさいなまれた8月には、終盤に運動量が落ちて相手の猛攻を許したチームも、これで2試合連続完封勝利。DF岩政は「正直涼しくなって、日程に余裕もできれば、うちの強さは健在だと感じている」とうなずいた。夏は苦戦しても秋口から巻き返す、リーグ3連覇の必勝パターンに重なってきた。

 マルキーニョス本人も異常気象の今夏を、冷房フルパワーで自室を気温18度に保つことで乗り切った。温存されたパワーが、勝負の秋に爆発した形だ。これで首位名古屋との勝ち点差は5。岩政は「選手的には、勝ち点2ゲーム差以内かどうかで、気持ちが変わる。7から5に差が縮まったのは大きい」と頂点を視野にとらえた。【塩畑大輔】