日本代表FW香川真司(21=ドルトムント)が、スペイン1部のビリャレアルとAマドリードから移籍を前提とした打診を受けていることが13日、分かった。早ければ、来夏にも移籍が実現する。新生日本代表発足後、レギュラーに定着した香川は今夏にC大阪からドルトムントへ移籍。ブンデスリーガで7戦4発とゴールを量産している。香川の最終目標は「バルセロナで欧州CL優勝」。大きなあこがれを抱くスペインリーグから注目され、欧州での香川争奪戦が始まりそうだ。

 香川が、スペインの名門2クラブから熱視線を浴びている。現在リーグ2位のビリャレアルと7位のAマドリードが、香川獲得に向け調査していることが判明した。クラブ側から、香川のプレーの特徴をヒアリングする連絡があり、これまでは皆無だった具体的なコンタクトが始まっている。

 C大阪からドルトムントへの移籍が決定した今年5月、香川は「ドルトムントはあくまで通過点。将来的にはスペインリーグへの移籍を実現させたい。最終目標はバルセロナ」と明言していた。スペインの強豪2クラブが獲得に強い興味を示したことは、バルセロナ移籍への重要なステップとなる。

 欧州に太いパイプを持つ関係者は「スペインのクラブも香川を狙っている。本人は少しでも上のレベルでプレーしたいという希望を持っている。早ければ、来年の夏の移籍市場で移籍する可能性もある」と、来シーズンまでの動きを見据えた。

 ドイツのビルト紙はACミラン、インテルミラノ、ユベントスのセリエAの強豪も香川に興味を持っていると報じ、スペインのムンド・デポルティボ紙は香川の特集記事を掲載した。香川への注目度は欧州全土へ急速に広がりつつある。

 香川は今後について「自分が最も成長できると感じた環境でプレーしたい」と話している。所属するドルトムントは現在ブンデス2位と好調だ。3位以内に入れば欧州CL出場権を獲得する。

 契約期間は13年6月まで。ドルトムントでの待遇や環境には満足。一方で、9月30日の欧州リーグ・セビリア(スペイン)戦直前には「スペインのクラブに売り込むチャンスにもなる」と意気込んだほど、同リーグへのあこがれは揺るぎない。正式オファーが届けば、移籍への動きは一気に早まる可能性は高い。

 香川は08年5月に平成生まれで初の日本代表選手に選ばれた。同年8月に北京五輪に出場も1次リーグ敗退。そこから海外移籍を強く意識するようになった。

 C大阪のJ1昇格に貢献しJ2得点王の09年オフ、ブンデスリーガのドルトムント、シャルケ、ケルンとオランダ1部のVVVから正式オファーを受けていたが「試合に確実に出られる環境が一番、成長できる」と、自分の考えで海外挑戦を半年遅らせた。C大阪残留後、最も早く正式オファーしたドルトムントへの移籍を決断していた。

 まずはブンデスリーガ優勝と日本代表に集中する。韓国戦から一夜明けたこの日、中2日で迎える15日ケルン戦(アウェー)に向け、韓国・仁川(インチョン)空港からドイツへ戻った。1月のアジア杯(カタール)はブンデスリーガの日程と重複しており「クラブと協会に任せたい。自分としてはアジア杯を経験することは財産になる。でも、ブンデスでプレーすることも大切なこと。気持ちは半々」と慎重に話した。

 「韓国戦で自分の課題であるフィジカルを磨くことを痛感した。ドイツで鍛え直したい」。スペイン移籍への可能性が広がったことを励みに成長あるのみ。日本サッカーの未来を背負う21歳が足を止めることはない。