清水の長谷川健太監督(45)が、今季限りで退任し、来季の新監督候補として現イラン代表監督のアフシン・クォトビ氏(46、米国)が浮上していることが10月31日、分かった。長谷川監督はクラブ史上最長の6年間、指揮を執ったが、今季は終盤にきて失速しリーグ優勝は絶望的で現在6位にとどまっている。クォトビ氏は、02年W杯日韓大会で4位に入った韓国代表フース・ヒディンク監督の下、コーチを務めた実績を持つ。来季こそ、クラブ史上初の年間優勝を手に入れるべく「ヒディンクの右腕」に清水が白羽の矢を立てた。

 クラブ史上最長となる6年の「長谷川政権」後に向け、清水が“ビッグネーム”招集に向け水面下で動きだした。近日中にもクラブから正式発表される長谷川監督の後任に世界的名将「ヒディンクの右腕」と評されている現イラン代表監督のクォトビ氏が浮上した。

 昨季2年契約が満了し、新たに今季単年契約で延長していた長谷川監督が、この契約を最後にチームを離れる。就任6年目の今季は開幕から10戦連続負けなしの快進撃で、前半戦を首位でターンに成功したが、後半戦はここまで2勝3分け6敗の大失速で次節にも優勝が完全消滅する。

 現役時代は91年に日本リーグの日産から地元・清水に移籍。クラブの草創期から中心選手として活躍し、現役を引退する99年まで清水一筋でプレー。その後は05年に再び清水に監督として復帰。Jクラブの新人監督としてキャリアをスタートさせたが昨季までの5年間は無冠に終わった。

 7年ぶりの監督交代でクラブ側が新監督候補として交渉に乗り出しているクォトビ氏は現在はイラン代表監督で、過去に韓国代表のヒディンク、ピム両監督の下でコーチを歴任。選手分析や戦術分析にたけた能力を持ち、02年の日韓W杯で韓国が世界4強入りした際もヒディンク監督を側近としてサポートした。09年4月には自身がイラン代表の監督に就任すると、南アW杯の出場は逃したものの、不調だったチームを見事に立て直してみせた。

 清水は日本代表FW岡崎を筆頭に実力健在のMF小野、成長株の同代表MF本田など、他クラブにも決して劣らない戦力を多数保有。就任1年前は、15位と降格争いをしていたチームを、安定して上位の成績を収めるまで押し上げた長谷川監督が築き上げたベースに、世界レベルの頭脳派監督のクォトビ氏が「勝ちきれるチーム」に仕上げる。今後はリーグ残り6試合と16強入りしている天皇杯までは長谷川監督が指揮。同時進行で新監督候補への交渉も進めていくことになる。