京都の元日本代表FW柳沢敦(33)が、来季戦力外になったことが6日、分かった。前日5日に戦力外通告をしたという。関係者は「あまりに急な話だったので本人はかなり動揺しているようです。戸惑いだけでなくクラブへの怒りもあるでしょう」と明かした。

 今季限りで契約満了となる柳沢に対してクラブ側は当初、契約を更新する方針を固めていた。だがJ2降格が秒読み段階になり、親会社京セラの内部で6000万円(推定)と高額年俸の柳沢を残留させることに疑問の声が噴出したという。再考を迫られた強化部は、元日本代表で経験豊富なエースFWを「クビ」にする結論を導き出した。

 柳沢は欧州移籍をはさみ10年以上在籍した鹿島を離れ、08年に京都へ移った。移籍初年度には日本人得点トップのリーグ14得点を挙げて復活した。無名選手の多い京都では、看板選手でもあった。今季途中から就任した秋田監督は鹿島時代から尊敬する存在。柳沢本人は京都で骨をうずめる覚悟を固めていたという。

 この日、累積警告により出場停止だった柳沢は試合前にサポーターとの記念撮影会に参加。そして、J1通算300試合出場の表彰を受け笑顔を見せたが、志半ばでチームを離れることになった。

 京都はJ2降格が決まれば、高額年俸選手や、有望な若手選手の流出は避けられそうにない。クラブ幹部は「もうすでに代理人を使って移籍先を探している選手もいるようだが、無理に引き留めたりはしない。京都に愛着の強い選手だけが残ればいい」と話した。