J2コンサドーレ札幌は8日、来季新加入選手として室蘭大谷高のDF櫛引一紀(3年)と仮契約したことを発表した。同校からの獲得は08年のMF宮沢裕樹(21)以来4人目だが、道内高校の新卒DFとしては初めて。将来の主力としてセンターバック、サイドバックだけでなく、ボランチなど複数ポジションをこなせる選手として育成していく方針だ。今日9日、室蘭市内の同校で入団会見が開かれる。

 札幌が、地元の有望な高校生DFを獲得した。室蘭大谷の櫛引は、チームを3年ぶりの全国選手権に導いたセンターバック。札幌の練習には今季3度参加しており、高さ、強さ、技術いずれも素質は十分。昨年から注目してきた鈴木智樹スカウト担当(25)は「道内高校DFの獲得は久しぶり。大事に育てていきたい」と目を輝かせた。

 相思相愛が実った。櫛引は全国選手権の北海道大会を制した直後に「地元の札幌でプレーしたい」と入団をアピールした。札幌側もセンターバックはベテランDF藤山、箕輪が今季限りで退団。将来を見据えた強化策として、道内高校ナンバーワンDFに注目していた。三上強化部長は10月から「能力は十分。ぜひ、札幌で育ててみたい存在」と評価していたほどだった。

 札幌の高卒新人DFの獲得は、04年の上田以来になる。道産子高卒DFは初めてで、今後に向けた育成方針が注目される。鈴木スカウト担当は「センターバックやサイドバック、ボランチもできるようになってくれれば」と幅のあるプレーヤーとして期待。10月1日の札大GPとの練習試合では札幌の選手として出場しセンターバック、右サイドバック、ボランチを無難にこなした。J監督歴12年の石崎監督も「キックの精度があるし、落ち着いている。ヘディングも強い」と順応性を評価していた。

 来季の強化費については1億円削減の可能性もあり、若手選手の成長がチームの巻き返しへ不可欠になる。既に昇格が決まっているU-18FW三上や櫛引といった地元の有能な人材を巧みに組み合わせ、地道な底上げを図っていく。