浦和のフォルカー・フィンケ監督(62)が、今季限りで退団することが19日、分かった。09年から監督に就任し、今季で契約が満了。一時は続投への意欲を示していたが、今月上旬に橋本社長らフロント陣と協議した際、来季のチーム編成の方針に納得できず、自ら退団する意思を固めた。

 この日、さいたま市内で今日20日のG大阪戦(埼玉)へ向けた調整後、「契約の内容については話せないし、クラブ側にも考えは伝えていない」とした上で「残念ながら、クラブと来季のビジョンを共有できなかった」と退任の意向を明かした。

 フィンケ監督は藤口前社長の招聘(しょうへい)を受け、09年にブンデス2部フライブルクから浦和監督に就任。従来の個人能力に頼ったカウンターサッカーから、運動量を重視した欧州のモダンなパスサッカーへの移行を実践した。クラブの経営コスト削減の方針により、外部からの大型補強を自粛。原口や山田直らユース出身の若手を抜てきする世代交代を進めた。

 ただ、クラブ側は現場への急激な投資削減による戦力やブランド力の低下、それに伴う観客動員の減少に歯止めをかけるため、来季の経営方針を転換。新潟MFマルシオ・リシャルデスにオファーを出すなど、即戦力の補強に乗り出した。フィンケ監督は「前線に選手がいる中で高額な選手を補強する必要があるとは思えない」と08年当時から約7億円のコスト削減から一転した動きに、疑問を感じたようだ。

 橋本社長は今月末までにフィンケ監督の続投か体制一新かを判断する予定だったが、同監督の意向を受けて、本格的に後任人事に着手する。クラブ側はパスサッカーの土台を築き、若手の成長を促した手腕を評価しつつ、契約満了によるフィンケ監督の退任を基本線に、複数の候補者を調査している。

 指揮官の交代により、現体制でのコーチ陣も大幅に入れ替わる可能性がある。王座奪回へ、来季は新体制で挑む。