南米パラグアイの名門オリンピアが、J2千葉MF佐藤勇人(28)の獲得に動いていることが3日、分かった。W杯南アフリカ大会での岡田ジャパンの躍進を受け、日本人選手の動向を調査。A代表歴があり、J屈指といわれる佐藤の運動量と攻守に連動するプレースタイルに注目し、今冬の移籍市場で獲得する有力候補に挙げた。11月中旬に関係者がリーグ戦を直接視察しており、早ければ今日4日のJ最終節徳島戦(フクアリ)後に、正式オファーを出す可能性が高まった。

 オリンピアは既に、佐藤の最終チェックを終えた。クラブ側は11月中旬にスカウティング担当者を日本に派遣。同14日の東京V戦、続く20日の北九州戦とJ2リーグ戦2試合でプレーを確認した。佐藤がその2戦で連続ゴールを決めるなど攻守両面で活躍したことから、1月の移籍市場で獲得する有力候補に入れた。関係者は「南米でも十分通用する力がある。獲得へ向けて、正式な書類を出す用意がある」と正式オファーを出す可能性を示唆した。

 オリンピアは国内最多のリーグ優勝38回を誇り、南米王者や世界一にも輝いた強豪。これまで数多くのパラグアイ代表選手を供出してきた。ただ、00年を最後に優勝から遠ざかっており、外部からの補強を検討。かつてMF広山望(セロ・ポルテーニョ)やFW福田健二(グアラニ)らがパラグアイリーグでプレーし、W杯南アフリカ大会で8強入りした母国代表と好勝負を演じた日本人選手の再開拓を決めた。中でも、03年に本拠地が同じライバルのセロ・ポルテーニョが獲得に動き、オシム元日本代表監督に千葉監督時代から師事し、06年にA代表入りした佐藤を主力ボランチ候補として調査していた。

 佐藤は昨季、京都から3年ぶりに古巣へ復帰した。千葉との契約は来シーズンまで残っているが、チームは今季リーグ4位で来季のJ2残留が確定しており、オリンピア側との交渉次第では、移籍する可能性がある。オリンピアの他にも、バーレーンのクラブも佐藤サイドに身分照会しており、今後、国内外で争奪戦に発展しそうだ。「オシムサッカーの申し子」と呼ばれる佐藤の去就が注目される。