広州アジア大会で史上初の金メダルを獲得したU-21(21歳以下)日本代表FW永井謙佑(21=福岡大)が、今季リーグ戦を制した名古屋入りの意思を固めていることが7日、分かった。まだ諸条件を詰めている段階だが、10日にも正式発表される。Jリーグ5クラブ(名古屋、浦和、東京、神戸、福岡)の争奪戦になっていたが「将来性」を最重要視して決断が下された模様だ。

 成長著しい永井が本命視されていた“日本最高峰”での飛躍を決断した。5クラブは永井サイドと今月1~3日の3日間、プロA契約(年俸上限700万円)を含む新条件で交渉を持った。12年ロンドン五輪、14年W杯ブラジル大会出場を目指し「自分が成長できる最高の環境を選びたい」とし、自分の意思で決めた模様だ。

 乾監督も永井の能力を最大限に生かせるチーム入りを望んでいる。契約期間などを詰めているが、10日までにはクリアされる見通しだ。

 成長を願うゆえの選択だ。今年はW杯南アフリカ大会にサポートメンバーとして帯同し、アジア大会は大会得点王に輝いた。同監督が「日本の宝」と評すストライカーの将来性が、今回の進路決定の最重要項目だった。

 他の4クラブ入りの可能性は低い。有力候補の1つとされた東京が今月4日にJ2降格し、J1でのプレーを目指すことから、東京は選択肢から自動的に外れた。浦和には監督人事やチーム編成などクラブ方針が短いスパンで変わる可能性があり、神戸は今季の特別指定先でありながらも下位に低迷した点が懸念材料になった。また地元の福岡はJ1昇格を果たしたばかりで、来季J1での戦いに不透明な部分が残る。そうした部分を総合的に判断した結果となったようだ。

 永井は、18日開幕の大学選手権に出場するため、16日に福岡を出発する。昨年度はA代表に選出されたため決勝戦を欠場し、チームも準優勝に終わった。永井の今大会にかける思いは強い。