プロとして自分の人生を大事にすればいい-。清水MF小野伸二(31)が、13日までに清水との来季の契約が合意に達し、残留が決まった。今オフの清水は、構想外が発表されているMF伊東、DF市川、GK西部らに加え、この日はFW岡崎慎司(24)にドイツ移籍が浮上。MF藤本、本田の去就も流動的で、現時点で11人の選手が流出する可能性がでてきた。自らも2度の海外移籍を経験した小野は残る立場となった今、それぞれの選手を尊重し、理解を示した。

 小野は自ら来季の契約が合意したことを明かした。25日の天皇杯準々決勝(アウスタ=対山形)に向け、午前、午後の2部練習を消化。自分の残留は確定したものの、現段階でチームメートが最大で11人の大量流出の可能性について報道陣から問われると、経験と重ね合わせながら、平然と持論を展開した。

 小野

 プロなんで仕方ない。海外では当たり前のことですからね。日本は、まだ慣れていないだけだと思う。選手もつらいし、サポーターも悲しい。いろいろ、あるけど、最後は本人が決めるものだからね。

 MF伊東、DF市川の生え抜きのベテラン勢に加え、FWヨンセンが帰国を表明。GK西部、DF青山らの主力級選手が来季の構想外で退団がクラブから発表されている。さらに、かねて夢だった海外移籍を目指すエースFW岡崎を始めMF藤本も「まだ、決めていない」と、去就は未確定。10日に鹿島からの正式オファーが届いたことが判明したMF本田も「まだ、わからない」と、態度を保留している。この日、契約更改に臨んだ兵働主将までもが「いろんな思いがあるので…。まだ、はっきりとはしていない」。

 選手の出入りはクラブ史上最大規模に及ぶ状況でも、小野は冷静に続けた。

 小野

 主力が抜けるのはチームにとっては痛いことだけど、残っている選手にチャンスがくるということでもある。どれが正しいか、分からないけど、自分も経験してきたことなんで。

 3度のW杯に出場し、オランダ、ドイツの欧州2クラブでも活躍したからこそ、それぞれの気持ちが分かる。【為田聡史】