コンサドーレ札幌が相次ぐ主力選手の流出でチーム崩壊の危機に陥った。来季J2に降格する東京がMF上里一将(24)の獲得に動いていることが23日、分かった。今季は主にボランチとして28試合出場4得点。東京は今季34試合36点と得点力不足が降格の一因で、強烈な左足シュートを持つ上里に白羽の矢を立てた。MF藤田、DF石川の新潟移籍、DF西嶋の徳島移籍も発表。上里も移籍となれば、来季は土台からのチームづくりを課されることになりそうだ。

 西嶋に続き上里も、同じJ2クラブに流出する可能性が出てきた。東京は来季ボランチ補強を課題に挙げており、既に横浜FCホベルト(31)獲得に動いている。攻撃力のある上里に関しても代理人を通じ条件提示。同ポジションには日本代表経験のある米本、梶山がいるが、中盤の底からでも得点できる上里も加え、一気に攻撃力アップを図ろうという判断だ。

 破壊力十分の左足は“飛び道具”だっただけに大きな痛手だ。つないで崩せないときの最終兵器としても貴重な武器だった。今季は4月11日の柏戦で40メートルのFKを直接決めて以降、3試合連続ゴール。すべて20メートル以上離れたミドルレンジからの得点で、シーズン中からJ1複数クラブが興味を示していた。東京は来季同じJ2も、資金力に大きな差がある。強化費大幅削減に苦しむ札幌が移籍を食い止めるのは厳しい状況だ。

 札幌が完全に草刈り場となっている。この日、発表となった徳島移籍のDF西嶋、新潟移籍のDF石川、MF藤田とすでに主力選手3人の流出が決定。矢萩竹美社長(60)は「後ろの選手は大幅に入れ替わるがFW、サイドハーフ、トップ下の選手は大きく変わらない」と言う。だが、ここにきて上里も移籍となれば、戦力ダウンは免れない。

 今季主力となった選手で残留濃厚なのはFW内村、MF高木、古田ぐらい。3年目の石崎サッカー継続を掲げるはずが、また来季も土台づくりからのスタートになりそうだ。