【グアム24日=永野高輔】ゴンを追い抜いてはいけない-。コンサドーレ札幌のグアムキャンプがスタートした。昨年11月に両膝を手術したFW中山雅史(43)は、札幌で調整した時のランニングでペースを上げ過ぎた影響で、初日から右ふくらはぎに張りを訴えた。負けず嫌いな性格が災いし、後輩に抜かれるとついハイペースになるのが原因。確実に回復させるため、“ゴン追い越し禁止令”が検討されている。

 何事にも張り切りすぎる中山を制御するため、異例の“おきて”が定められる可能性が出てきた。本格始動となったグアムキャンプ初日。札幌ではランニングメニューのみ部分合流していた中山だが、右ふくらはぎの張りで軽めのジョギングに終始した。

 原因は負けず嫌いな性格にあった。「札幌ドームで頑張ってしまい、張りが出ているのかも」と佐川トレーナー。国内調整最終日だった21日、練習生のDF笠井が20分間のフリーランニング中、無意識に後方から中山に並び、追い抜くという“事件”が起きた。負けじと43歳が加速して並走。終了後に検査すると、一定値をキープしなければならない心拍数が大幅に上昇していた。想定外のハイペースが体に影響した可能性は否定できない。

 今キャンプでも同じ状態が続けば、復帰の遅れにつながる。そこで、古辺考功フィジカルコーチ(40)は「あの人、負けず嫌いだから。みんなにゴンさんを追い抜いちゃダメって言おうかな」と新法令立案を示唆した。闘魂の速度違反を未然に防ぐため、後輩の“あおり”を極力避けるという意図がある。

 昨季から残る選手は、先頭が好きな中山の性格を熟知している。フリー走の間も遠くにいる時点で位置を把握し、コースをずらすなど、抜かれた感を与えないすべを知っている。それだけに、新法令は主に新加入選手や笠井らの練習生が対象になる。笠井は「並んだ時に“いこうぜ”と誘われまして」と証言しており、飛ばし屋ゴンの誘い文句をいかに断るかも重要な要素になってくる。

 完全復帰のメドは、2月1日。メディカルスタッフが立てたメニュー通りにこなせば順調に合流できるが、飛ばしすぎは事故のもと。チーム全員が協力し、ゴンの“セーフティードライブ”をサポートする。