Jリーグは22日、東日本大震災の影響で中断しているリーグ戦の4月23日再開を決めた。都内でJ1、J2の臨時合同実行委員会を開き、全会一致で決定した。プロ野球セ・リーグが開幕日を巡り、文科省などから再考を促されているのとは対照的に、あらかじめ文科省を訪れ再開日候補を探り、混乱を最小限に抑えようと必死だった。関連施設が損壊した仙台などは遅れて再開する可能性を残し、4月中はナイターを実施しない。

 会議は3時間を超えた。リーグ戦閉幕を遅らせない前提でシミュレーションされた「4月23日案」をめぐり、「被災地を励ます意味でももう少し早く再開できるのでは」など、さまざまな意見が出た。

 「公共の利益に対する寄与」を判断基準に、検討を重ねた。中止期間をそれ以上延ばせば、しわ寄せが夏場のナイター開催につながる。厳しい電力事情を考慮すれば、避けたい。最終的にはこれが決め手となり、4月23日再開案を全会一致で採択した。

 会議終了後、大東和美チェアマンが会見した。「4月第2~3週の再開を目指し話し合いました。詳細の作業はこれからです」。再開のめどに、ほっとした表情を浮かべた。

 J1は計45試合、J2は計60試合が中止となる。J1は事務局側で作成した原案をもとに、中止した試合は7月中の消化を目指す。7月はもともと日本代表が南米選手権に出場するため、リーグ戦の予定はなかった。日本協会との協議はこれから。J2は平日開催も視野に調整する。

 また、長期化の見通しの計画停電も影響した。4月中のナイターは実施しない。この日、実行委員会開催前に、Jリーグ幹部が文部科学省を訪れ協議。大東チェアマンは「電力の問題を聞いて議論しました」と話した。プロ野球はセ・リーグがナイター開催をめぐって同省から自粛の要請を受け、開幕日の変更を迫られる事態になった。Jリーグは混乱を避けるためまず監督官庁に相談した。5月以降も、電力事情によってはナイター自粛の可能性も残される。

 J1、J2全チームの一斉再開を目指すが、厳しい現実もある。仙台、鹿島、J2水戸は関連施設が損壊している。ホームタウンの安全確保、アウェーへの移動、トレーニングの再開など問題は山積。このため、1~2週程度遅れて再開する可能性や、試合を代替スタジアムで開催することも検討している。

 再開の日程は決まったが、閉幕を動かさない方針の中、どこまで実行できるか見えない部分もある。復興への動き、読めない電力事情、そしてサポーターの日常がどれだけ戻るのか。再開日決定のその先に長く厳しい道のりが続いている。【松田秀彦】