セリエA・ユベントスを退団したばかりのFWアレッサンドロ・デルピエロ(37)が、21日にカシマスタジアムで行う「東日本大震災復興支援Jスペシャルマッチ」に出場することが13日、決定的となった。セリエA関係者によると、デルピエロは復興支援に大きな関心を持っており、Jリーグサイドにも出場を打診した可能性がある。デルピエロの緊急参戦は週明けにも正式決定する見込み。イタリアが生んだ世界屈指のファンタジスタが、カシマで世界を魅了したプレーを披露することになりそうだ。

 世界的なプレーヤーとして日本でも多くのファンがいるデルピエロが「東日本大震災復興支援Jスペシャルマッチ」への参加を希望していることが分かった。このほど、デルピエロの代理人が、Jリーグサイドと話し合ったことが明らかになった。復興マッチを広く発信したいJリーグも、デルピエロ参加を歓迎しており、両者の思惑が合致。週明けにも正式に決まり、発表される可能性が高まった。

 セリエA関係者は「デルピエロは以前から日本に大きな関心を持っている。昨年日本で大震災が起きた時は、誰よりも早く独自で支援策を考え、行動に移している。今回も彼の強い意思で、参加することをJリーグに打診したと聞いている」と明かした。

 デルピエロは昨年9月、復興支援のためのオリジナルTシャツを制作してネット上などで販売。売上金約30万4000ドル(約2432万円)を日本赤十字社に寄付しており、慈善活動への情熱は非常に強い。

 また、日本との縁も深い。02年W杯日韓大会では、イタリア代表として来日し、仙台市での直前キャンプでは、地元の子供たちと積極的に交流し、親日家としての土台ができた。

 さらに、ユベントスのエースFWとして96年トヨタ杯(現クラブW杯)に出場。アルゼンチンのリバープレートと対戦した国立での決勝では、決勝点を挙げ1-0で世界トップに輝いた。デルピエロにとって日本は縁起のいい場所でもある。創造性あふれるプレーから、日本でのファンも多い。

 復興マッチは、JリーグTEAM

 AS

 ONE(J被災地選抜)と、ファン投票などで選出されたJリーグ選抜が対戦する。デルピエロは、岩手県出身MF小笠原満男(鹿島)や宮城県出身DF今野泰幸(G大阪)、仙台所属FW柳沢敦らとともに、被災地選抜の一員としてプレーすることが有力。

 試合前日には、ファンにも公開する公式練習を行い、45分間の募金活動も予定している。デルピエロはこの募金活動にも参加を希望している。このため、出場が正式決定した場合は、試合前日の20日までには来日し、復興支援への活動に加わることが予想される。

 デルピエロは11-12シーズンを最後に、19年間在籍していたユベントスを退団した。現在、中国、中東、MLSなど複数クラブと交渉している。

 今回の復興マッチは、被災者への応援と、日本の復興を世界中にアピールする狙いがある。実際に被災したカシマスタジアムで、試合を組んだのも、災害から立ち直りつつある現状を知ってもらう背景があった。今回、デルピエロの出場が実現すれば、世界のサッカーファンに日本の現在を正確に、広く伝えることができる。デルピエロ効果は計り知れない波及効果をもたらすことが期待される。

 ◆アレッサンドロ・デルピエロ

 1974年11月9日、イタリア・カネリアーノ生まれ。91年にパドバでデビューし、93年にユベントスに移籍。95-96シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝に貢献。96年トヨタ杯でMVP獲得。97-98シーズンは欧州CL10得点で得点王。07-08シーズンは21得点でセリエA得点王。セリエA優勝6回。代表デビューは95年3月25日のエストニア戦で、国際Aマッチ91試合27得点。06年W杯ドイツ大会優勝。173センチ、73キロ。

 ◆東日本大震災支援Jスペシャルマッチ

 昨年大震災の後、Jは「チカラをひとつに。TEAM

 AS

 ONE」をスローガンに復興支援活動を展開。その一環として、昨年3月29日の日本代表対Jリーグ選抜戦(長居)を開催し、今回はチャリティーマッチ第2弾となる。今季は「Jリーグは決して忘れない」というテーマで活動を続けており、試合会場で募金活動も続けている。今大会の選手選考は、ファン投票をもとに選考委員会で最終決定した。最多得票者はG大阪MF遠藤保仁で32万709票。J被災地選抜は仙台の手倉森誠監督、Jリーグ選抜は柏ネルシーニョ監督が指揮し、90分間(前後半45分)戦う。