<Jユース杯:札幌5-1G大阪>◇24日◇決勝◇大阪長居スタジアム◇日刊スポーツ新聞社主催

 札幌U-18の最強世代最後の得点も、MF中原彰吾(18)だった。4-1と大きくリードした後半40分、右サイドを駆け上がったDF小野能寛(18)のクロスを、中央のFW下田康太(18)が胸でコースを変えて落とす。走り込んだ中原は落ち着き払い、ダイレクトで、GKの手が届かない右スミを狙って、軽くゴールに蹴りこんだ。大会史上初の決勝でのハットトリック。「勝ててホッとしました」。勝利の立役者が、胸をなでおろした。

 3年前の全日本ユース選手権U-15は決勝で神戸に敗れた。試合後、中原を含めメンバーの大半が泣き崩れた。「あの時は緊張して何もできなかった」と振り返る。中学の時と同じように、この日も先制されたが、前半終了間際にPKを冷静に決めて追い付くと、後半立ち上がりに逆転弾もたたきこみ、チームと自分の成長をアピールした。

 U-12時代から9年間ともにプレーしてきたメンバーで歴史を変えた。小学4年時、中原は長髪をポニーテールのように束ねて練習に参加した。学年が上がるにつれて髪が短くなった。堀米主将は「出会った時は女の子かと思いました。だんだん男っぽくなって、今日は本当に頼もしかった」と、冗談めかした。

 来季からJ2で戦う札幌の未来を切りひらく1勝でもある。6人が来季から加入、若返りとJ1再昇格を同時に課せられるチームの象徴的な存在になる。「プロの厳しい戦いの中で、全国大会で勝ちきった経験が生きる日が必ず来る」と、四方田修平監督(39)は確信めいた顔つきで話した。「僕たちがチームを強くして、J1でプレーできるように頑張りたい」と堀米主将。頂点に立ったこの日、新たな歴史がまたスタートした。