<プレナスなでしこリーグ:INAC神戸1-2岡山湯郷>◇第12節◇29日◇福島・あいづ陸上競技場

 INAC神戸が岡山湯郷に惜敗し、約3年ぶりの黒星を喫した。0-1の前半35分にFWゴーベル・ヤネズ(25)のゴールで追いついたが、後半17分にPKを献上し、これが決勝点。岡山湯郷の日本代表MF宮間あや(28)に2ゴールを許した。リーグ戦で敗れるのは10年10月11日の日テレ戦以来で、無敗記録は48試合で止まった。

 遠方の磐梯山を背に、MF澤穂希(35)は立ち尽くした。試合後、仲間と場内を1周し拍手を送られたが、申し訳なさそうに頭を下げ続けた。

 前半8分に左CKをヘディング。GKがはじき、右足で蹴ったが、サイドネットをたたいた。澤を起点につないで攻め上がるが、なかなかフィニッシュに持ち込めない。1-1の後半17分、GK海堀がゴール前に進入してきたFW有町にファウル。このPKで勝ち越された。その後は圧倒的にボールを支配しながら、得点に結び付かなかった。

 公式戦では昨年11月の国際女子クラブ選手権決勝でリヨン(フランス)に負けて以来27試合ぶり、リーグ戦は49試合ぶりの黒星。90年から3季にわたる読売(現日テレ)の51試合連続無敗記録に、あと3試合だった。リーグ杯を含め今季5度目の対戦の岡山湯郷はカウンターの対応が早く、慣れた試合運び。INACは終盤はパスミスが目立ち、急いでシュートを打つ場面も。石原監督も「うちだから(攻撃を)止められたということはないが、最後はタイミングが合わなかった」と振り返った。

 この日は福島第1原発事故により避難生活を送る楢葉町、大熊町の住民が招待された。左センターバックのDF三宅は、JFAアカデミー福島所属の特別指定選手。楢葉中の同級生や先生が駆けつけ「結果が出なくてショックだけど、福島でやれて良かった」と話した。勝ち点33で首位に変わりはない。「チームが成長するため、前向きにやっていきたい」と澤。3連覇に向けて切り替える。【由本裕貴】