鹿島MF小笠原満男(31)が、東日本大震災による被災者の安否確認情報の発信を強く要望した。14日、茨城・鹿嶋市内のグラウンドで「なんとかして安否の情報を伝えてもらう方法はないでしょうか」と切実な表情でメディアに訴えた。小笠原は被災した岩手・大船渡市の大船渡高で3年間を過ごした。いまだに消息をつかめない友人、知人も多く、必死な面持ちで記者の取材に応じた。

 3日ぶりの練習に姿を現した小笠原が取材陣に歩み寄ると、深刻な表情で切り出した。「避難所にいる方々の名前とか、リストを出してほしいんですよ。個人情報の問題とかもあるんでしょうが、何とかならないでしょうか」。目は充血して真っ赤だった。

 小笠原の出身県、岩手の被害状況は死者数が500人を超える甚大な被害を被った。高校時代3年間過ごした大船渡市では30人以上の遺体が収容され、300棟以上が崩壊、流失の大きな被害に見舞われた。

 慣れ親しみ、自らの礎を築いた地の惨状に「よく行った場所とか店とかもあるし、友人やお世話になった方の中で、いまだに消息をつかめていない人がたくさんいる。被災者の関係者が一番欲しい情報は、安否確認だと思う」と訴えた。

 一部新聞では「おくやみ」欄で被災で亡くなった方の名前を公表している。岩手、宮城、福島の3県警は前日13日に、安否が分からない人について、家族らからの問い合わせに対応するダイヤルを設置した。

 岩手県ではこの日、県内の避難所にいる住民の氏名、年齢、住所をホームページで公表。だが、アクセスはつながりにくい状況だ。小笠原は「新聞が号外で配るとか。それができなければ、テレビカメラで避難所にいる人たちの顔をなるべく映してほしい」と一刻も早く知人の消息を知りたい思いを吐露した。「行って何ができるわけでもないんですが、すぐにでも現地に行きたい気持ちです」。思いは切実だった。【塩谷正人】