Jリーグが今日23日再開する。清水は福岡を迎えホーム開幕戦を行う。3月5日の柏戦(0-3)以後、東日本大震災の影響で中断していた。その間、オランダ1部リーグの名門アヤックス戦を含む4試合を消化。「ゴトビイズム」はチーム内に浸透し、底上げには欠かせない若手の台頭や、戦術理解も深まった。開幕戦の惨敗を払拭(ふっしょく)すべく、進化したエスパルスの姿をアウスタで披露する。

 時は来た。福岡戦を翌日に控えた22日、アウスタで約1時間半の最終調整を行った。冒頭15分以外は完全非公開の厳戒態勢の中、セットプレーなどの最終確認を済ませた。アフシン・ゴトビ監督(47)は「また、Jリーグが再開することにわくわくしている。何人かのポジションは当日の朝まで判断を持ち込むが、全体的なプランは決まった」と、本拠地開幕戦を心待ちにした。

 3月11日の東日本大震災の影響でJリーグは約1カ月半中断した。この期間に新生エスパルスは着実な成長を遂げてきた。最も象徴的なのは若手の台頭だ。ゴトビ監督も「若い選手が学ぶことに対し、よりハングリーになった」と、評価するように、入団2年目の碓井が正GKの座をつかみ、19歳のMF高木、FW鍋田も切り札的存在にまで頭角を現してきた。

 アジア王者を目標に掲げる「ゴトビ戦術」も時間の経過とともにチームに浸透してきた。国内3試合に加え、アヤックスとも対戦。実戦を重ねることで、修正点が浮き彫りになり、明確な課題に向かって調整できた。「戦術的に成長した。特に攻撃の部分」と、攻撃面での改善を強調。その裏には3失点完封負けの開幕柏戦の悪夢があり「6週間もレイソルの話をしてきた。もう、その話はしたくない」と、負の歴史を一蹴した。

 震災直後、外国人のプロ選手や監督が相次いで国外退避する中、ゴトビ監督は日本に残った。「厳しい状況が起こったときこそ、いいリーダーが必要」と、先頭に立って、歩を進めてきた。それにより、練習法やミーティングなどチーム運営すべてにゴトビイズムを伝えることができた。「我々はチームに対して自信を持っている。全員が役割を理解している。勝利がチームの船出になる。そのときは明日だ」。声高らかに船出を宣言した。【為田聡史】