連続完封でチームを救え。山形は今日29日、G大阪(万博記念競技場)と対戦。28日は山形・天童市内で非公開練習を行い、GK植草裕樹(28)がC大阪戦(24日)に続いての無失点を誓った。今季は清水健太(29)に代わり、開幕からゴールを守り続ける。キャンプでの猛アピールで小林伸二監督(50)の信頼を勝ち取った新守護神が、前節に続く好セーブ連発で、不動の地位を手に入れるつもりだ。

 ゴールマウスは守ってみせる。前日27日の紅白戦前。攻撃練習でGKを務めた植草は、1対1になっても絶妙なタイミングで飛び出し、シュートをセーブした。まるでC大阪MF倉田を抑え込んだシーンの再現。チームを助けたスーパーセーブは雑誌の「前節のベストイレブン」に選出される要因になった。いつもの「調子はいいっすね~」の言葉にも、いつも以上の力強さを感じた。

 今季は清水との「守護神争い」で、わずかにリードした。キャンプでは技術はもちろん、精神面での成長が著しかった。以前は、守備陣の動きがよくないと怒鳴り散らしていた。今年は違う。練習後に当該選手の元へ歩み寄り、そっと諭す。その姿は兄貴分。小林監督も「植草は変わった。シミケン(清水)と競っていて差がない」と度々、口にする。スタイルが変化したことに「理由はないよ」と言うが「常に一生懸命やりたい」。28歳。GKとして最盛期を迎えた男は、気持ちを体現している。

 何げないシュート練習にも、気持ちを垣間見ることができる。DFを置かない設定では失点しない方が難しい。要は攻撃の確認。だが植草はゴールを許すと「くっそ。ぜって~次はとめっから」と本気で悔しがる。いつ何時でもピッチの上では手を抜かない。普段の練習に、開幕からスタメンを張る理由があった。

 今節の相手は強豪G大阪。「強いけど、去年も勝ってるし大丈夫。また(ベストイレブンを)とれたらいいね」。昨季にリーグ戦デビューしたばかりの新守護神が、連続無失点で勝利をつかむ。【湯浅知彦】