<J1:G大阪3-2山形>◇第8節◇29日◇万博

 ガンバの窮地を、大黒柱が救った。G大阪はホームで山形の粘りに苦しんだが、後半41分にFWイ・グノ(26)の決勝点で3-2と競り勝った。その6分前から日本代表MF遠藤保仁(31)をボランチから2列目へと変更。最後は遠藤のアシストで決勝点が生まれた。2-0の快勝ムードが一転、同点に追い付かれる嫌な展開だったが、これで3位に浮上。

 勝負どころには、やはり遠藤がいた。残り4分、G大阪に好機が訪れた。右サイドのDF加地が、中央へ柔らかい浮き球を送る。山形守備陣に囲まれながら、ボールを受けたのは背番号7だった。胸でトラップしてから、右足で優しくパスを出す。イ・グノの右足シュートは相手DFに当たってからコースが変わり、ゴール左へ吸い込まれた。

 遠藤

 本当は自分で仕留めなきゃいけない場面。ダイレクトでいけるタイミングだったけど、回りを確認できてなかった。得点準備を間違えた。自分でいくイメージでしたけど。

 決勝アシストにも、殊勲者は反省ばかりだ。ただ、指揮官の思惑には応えた。決勝点の6分前となる後半35分に、MF武井が投入された。「相手のパワープレーに変化をつけたかった。ヤット(遠藤)のフィニッシュ(決定力)に期待した」と西野監督。武井をボランチに位置させ、遠藤をよりゴールに近い2列目へ。2-0から追い付かれる展開で、最後は大黒柱の得点感覚に賭けた。

 3月27日、日本代表の練習で競り合った時、右脇に激痛が走った。以前も痛めた肋骨(ろっこつ)に、再びヒビが入っていた。チームスタッフが「治りにくい場所だし、まだ完全ではない」という状況で、普段から痛い顔ひとつ見せない。今や日本代表でも欠かせない存在。だからこそ「勝ち方としては、良くない勝ち方」と厳しい言葉ばかりが口をつく。

 痛恨ドローの雰囲気から、何とか勝った。自慢の中盤はパスミスを連発。今季初完封は、またもやお預けになった。それでも勝ち点3はゲット。「集中力も切らせちゃいけないし、修正するとこは修正したい」。J王座、アジア王者を狙うチームに、頼れる男は健在だ。【近間康隆】