<J1:G大阪2-2清水>◇第14節◇11日◇万博

 梅雨の過密日程5連戦はともに激闘で始まった。清水は1点を追う後半5分までにDF太田宏介(23)の今季1号とFW大前元紀(21)のFKが直接飛び込むゴールでG大阪を逆転。同12分に同点とされたがアウェーで貴重な勝ち点1を挙げた。

 不細工でもいい。無我夢中でゴールだけを目指した。1点ビハインドで後半に臨んだ清水イレブンが体現した。まずは同2分。MFアレックスのクロスにFW高原が体ごと飛び込んだ。シュートは相手GKの好セーブに阻まれたが、こぼれ球をDF平岡が体いっぱいを使って頭で折り返す。なりふりかまわずゴール前に進入したDF太田が押し込み同点弾を決めた。

 さらに3分後。今度は幸運も味方した。清水ベンチ前からのFK。キッカーのFW大前がゴール前の味方を狙ったボールは、ゴール前でワンバウンド。相手GKが目測を誤り、そのままゴールに吸い込まれた。思わぬ形で自身今季3点目が舞い込んできた。ハーフタイムにゴトビ監督から「自信を持って行け!」と送り出されたオレンジ戦士が強く、たくましく戦った。

 一時は勝ち越しに成功したが同12分、同点弾を許した。しかし、攻めの姿勢は崩さない。同19分、高原、DF岩下に代え、MF小林、MF小野を投入。「清水商コンビ」のダブル司令塔で勝負に出た。すると2人のファンタジスタがいきなり息の合ったプレーを披露する。同21分、「伸二さんのゴール前のイメージを感じないと」と話していた小林がゴール前へクロスを入れると、ペナルティーエリア付近で待機していた小野は体を倒しながら豪快な右ボレーでゴールを狙った。

 両者ハイテンポでゲームが進み、チャンスもピンチもいつも以上に訪れ、まさに肉弾戦ともいえる激しい攻防が90分間続いた。強豪G大阪に対しアウェーでつかんだ勝ち点1。「我々のビジョンには近づいてきている」。今季公式戦10戦目にしてゴトビ監督の言葉に説得力が出てきた。【為田聡史】