<J1:浦和1-1G大阪>◇第2節◇2日◇埼玉

 G大阪の日本代表MF宇佐美貴史(19)が「吉兆ゴール」を決めた。浦和戦の後半11分に右足で先制点。J1通算10点目となり、正式決定したドイツ1部Bミュンヘン移籍を自らのゴールで祝った。J1での10代選手の通算得点ランクも歴代3位に浮上。過去2ケタ得点した5人中4人が海外でも得点している。後半32分に浦和のMF原口元気(20)に同点弾を決められ引き分けに終わったが、神戸戦(万博)を最後に欧州の名門に挑戦する至宝には、明るい1点となった。

 真っ赤に染まったスタンドが静かになった。後半11分、若きゴールハンター宇佐美の体は自然に反応した。MF二川のパスを胸トラップしたFWイ・グノがシュートする。相手GKに阻まれたボールは、背番号11の前に転がってきた。右足でゴールへ流し込む先制点。ゴール裏にわずかに陣取っていたG大阪サポーターへ向かって、右手を何度も突き上げた。

 宇佐美

 グノがチャンスになって、入るかもと思った。こぼれ球を蹴り込むだけ。ラッキーな点でした。点を取って黙らせるのは気持ちがいい。

 昨年4月24日の東京戦から積み上げた、J1通算10点目だった。まだ19歳1カ月。10代での10点目は、中田英やG大阪の先輩になるMF稲本(現川崎F)に並ぶ歴代3位だ。「特にないです。たかが10点ですから」。節目のゴールにも、ぶっきらぼうに通過点を強調した。それでも10代2ケタ得点者の4人が、その後に欧州でも得点した「吉兆ゴール」。歴代2位の松波コーチから言われ続けた「ボールがない時の動き」を考え、得点につなげた。

 移籍の決まったBミュンヘンには、15日に合流する。世界的タレントのそろうチームでは、やはり「ゴール」で存在感を見せるつもりだ。中田英や香川(ドルトムント)も、移籍直後の得点で周囲の心をつかんだ。「それができれば理想ですし、そこでチームメートやファンの心をつかめれば。それが一番のスタートなので、それは狙いたい」。

 1歳から試合を観戦し、ジュニアユースから過ごしてきたG大阪での生活も、あと2週間を切った。「最後まで気持ちはガンバにある」。残る試合は10日大宮戦(NACK)と13日神戸戦(万博)。感傷的な惜別ムードに、浸るつもりはない。G大阪での完全燃焼が欧州につながることを、宇佐美は分かっている。【近間康隆】