<J1:甲府4-3G大阪>◇第5節◇16日◇中銀スタ

 甲府のMF伊東輝悦(36)が、前人未到のJリーグ通算500試合出場を果たした。G大阪戦で先発フル出場。攻守の軸となり逆転勝利に貢献した。18年間在籍した清水から戦力外通告を受けて今季から甲府に加入。新天地でも攻守を支えるボランチとしてここまで全試合先発出場を続けている。

 伊東が日本サッカー史に名を刻んだ。「力は自然に入った」というメモリアルマッチ。前半19分までにいきなり2失点という展開にも、相手攻撃スペースを埋める動きやパスカットなどベテランらしいプレーで攻撃陣の奮起を促し、逆転勝利への流れをつくった。「みんながアグレッシブに戦ってくれて感謝です」。

 J初出場は94年6月11日。相手は同じG大阪だった。さらにG大阪の西野朗監督(56)は、伊東にとって「恩師」でもあった。もともと攻撃的な選手だったが、95年にアトランタ五輪出場を目指すU-22日本代表に選ばれ、同代表の西野監督から守備的MFへコンバートされた。戸惑いもあったが気持ちを切りかえ、五輪1次リーグのブラジル戦で決勝弾を決めて“マイアミの奇跡”の立役者に。その後も清水で不動の守備的MFとして活躍。移籍した甲府でも守備の再整備を期待された。「西野監督との出会いがなければここまでやって来られなかった」と恩人に感謝する。

 “身体的才能”も鉄人を支えた。毎日のようにマッサージを受ける選手が多い中、伊東は週に1回程度。「疲れたと思ったら」という感覚的判断で手入れをする。甲府のトレーナーが「これだけ疲労のたまりにくい選手は珍しい」と驚くほどの肉体に恵まれていた。

 試合前には花火が打ち上げられ、ハーフタイムには初代Jリーグチェアマンで日本協会川淵三郎名誉会長からVTRメッセージも寄せられた。「最後が見えてきている」と限界を自覚しながらも、「できたら、まだまだやりたい」と意欲の衰えは感じていない。【松田秀彦】

 ◆J1通算500試合出場

 甲府MF伊東輝悦(36)が、16日のG大阪戦(中銀スタ)で達成。J1史上初。初出場は清水所属時代の94年6月11日のG大阪戦(日本平)。プロ2年目の94年からJ1最長記録となる18シーズン連続出場中。