<J1:G大阪2-2名古屋>◇第9節◇17日◇万博

 G大阪が“奪首”に失敗した。勝ち点2差で追う名古屋との「首位攻防戦」は、前半ロスタイムにFWラフィーニャ(24)が先制。1-1の後半29分にはMFキム・スンヨン(金承龍=26)が押し込んで勝ち越したが、残り5分でFWケネディにゴールされ引き分けた。J最速となるJ1通算1000失点も記録。勝てば09年第2節以来約2年5カ月ぶりの首位だったが、真夏の決戦は2位浮上でとどまった。

 善戦なのか痛恨か。蒸し暑い真夏の万博は、複雑な感情が入り交じっていた。リーグ戦で5連敗中だった名古屋を相手に、ホームで貫いた「超攻撃」の看板。一方で、2度のリードを守りきれずドローに終わったのも事実だった。勝てば開幕2連勝した2年前の春以来となるトップの座だった。

 西野監督

 ポイント(勝ち点)3をイメージして、選手は今持っている力を最大限出し尽くした。2ポイントを失ったという気持ちは少なからずあるのですが、それでも倒れない名古屋があった。

 激闘に、指揮官も選手も疲れ切っていた。13日C大阪戦で左膝と腰を痛め途中退場したMFキムは強行出場。後半29分には「執念を見せたかった」と、倒れながら泥臭く2点目を挙げた。左太もも痛のMF二川や決して体調万全でないMF遠藤も懸命に走った。DF加地は無人のゴールで体を張って相手シュートをはじき出し、ピンチを救った。

 それでも、最後は警戒していた相手にやられた。「前線からプレスをかけて、ラインの駆け引きでケネディを下げさせた」と加地。194センチのケネディには、昨季2試合とも得点された。西野監督が「去年は名古屋の高さにやられた」という反省をもとに85分間は封じたが、一瞬の隙を突かれた。

 遠藤

 4、5点は取れた。もったいないとは思いませんけど、攻守とも詰めを厳しくしていきたい。勝ち点3は取りたかったけど、名古屋は去年の王者ですし、底力あるし、順位も1つ上げたので。これからが勝負。集中して1試合でトップに立てる位置にいたい。

 シーズン残り3分の1で2位に浮上した。そして、王手をかけていた「J1通算1000失点」もJ最速で記録した。不名誉に見える数字も、超攻撃のG大阪らしさか。それだけ長くJ1の舞台で戦っているからこそ。クラブ創設20年目。G大阪が真価を発揮する季節は、これからだ。【近間康隆】