<J1:G大阪2-0柏>◇第23節◇24日◇万博

 G大阪が「西野マジック」で首位を守った。前節まで2位の柏との首位攻防戦は、終盤まで苦しみながら途中出場3人の活躍で勝った。後半36分にプロ3年目のG大阪FW大塚翔平(21)のリーグ初得点で先制。1分後にはリーグ初出場のFWアフォンソ(19)のアシストから、FW平井将生(23)がダメ押し弾。西野朗監督(56)の采配がズバリ的中した。8戦不敗で、05年以来6季ぶりのリーグ制覇へ視界が広がった。

 我を忘れるほど喜んだ。苦しんで「引き分け」の文字が頭をよぎった後半36分。プロ3年目、今季はまだ1度も出番に恵まれていなかった大塚が放ったシュートは、DFに当たりながらゴールに吸い込まれた。西野監督はピッチに飛び出すほどの勢いで跳びはね、21歳の苦労人に抱きついた。待望の先制弾だ。そして1分後には、これまたJリーグ初出場の19歳アフォンソが粘って、平井がダメ押し弾。途中出場3人の執念が、勝利を引き寄せた。

 西野監督

 自分の中で、どうしても決着をつけたかった。攻撃的に勝ちきるんだというメッセージを発信して、今季初(出場)の2人がインパクトをつけてくれた。平井も役目を強く感じて入ってくれた。決定力をまず平井に託して(次に)大塚に託した。

 「5日天下」で終わる可能性もあった。20日川崎F戦を6-3で大勝し、首位をつかんだばかり。この日は引き分けでも首位陥落の危機だった。遠藤が徹底マークに遭い、攻撃に厚みが出ず前半に放ったシュートはわずか5本。経験も実績もない大塚&アフォンソの起用は、指揮官にとってはイチかバチかの賭けだった。試合後には思わず「最悪の流れになりかねない状況だった」と本音を漏らした。

 96年アトランタ五輪でブラジルを破った西野監督でさえ、無我夢中だった。だが冷静ではいられない試合展開でも、どこかに客観的に判断できる頭脳がある。練習が終わると大阪・箕面の山まで自転車で向かい、1人で頭を空っぽにして新鮮な空気を吸うという。普段から自分自身と向き合う時間を持つことで、熱くなりがちな首位攻防戦で「マジック」を起こすことができる。05年以来のリーグ制覇へ。西野ガンバが、首位固めの秋に入る。【益子浩一】