<ナビスコ杯:浦和2-1G大阪>◇準決勝◇9日◇埼玉

 G大阪の「1冠目」が消えた。2日のリーグ戦で1-0と完勝した浦和にスコア以上の完敗。08年から11戦負けなし(8勝3分け)だった相手に敵地でリベンジされた。MF遠藤保仁(31)ら主力4人を欠く布陣で攻撃が機能せず、4年ぶりのナビスコ杯制覇は夢となった。首位を走るリーグ戦は15日に名古屋戦(瑞穂陸)を控えるだけに、落ち込んでいる暇はない。決勝は29日に国立競技場で、9年ぶり4度目の優勝を目指す鹿島と、8年ぶり2度目の制覇を狙う浦和が対戦する。

 激しく攻めたラスト1分も、同点への壁は厚かった。G大阪が「お得意さま」に負けた。1週間前に完封勝ちした相手に12試合、4年2カ月ぶりとなる黒星。歓喜のあまりピッチに倒れ込む勝者を横目に、イレブンは淡々と中央に歩を進めた。ベンチで腕組みしたままだった指揮官も、ため息をつくしかなった。

 西野監督

 準々決勝と同じように前半は機能せず、後半エンジンがかかってリズムを取り戻す流れ。単調な攻めで、仕掛けていくことができなかった。自分たちのサッカーができなかったことが残念です。

 痛恨の「寝坊癖」だ。5日磐田戦に続いて序盤は連動せず、先制を許した。4日前は前半に追い付いたが、浦和は反撃のリズムすらつくらせてくれない。MF梅崎とFWエスクデロの高速ドリブルに守勢となり、攻撃自慢のチームが前半まさかのシュート0。後半にシステム変更や3枚の交代カードを使って打開したが、時すでに遅しだった。

 やはり「穴」が響いた。代表や故障で主力4人が不在。特にMF遠藤と明神を欠く中盤はスペースが空いて間延びした。縦への突破ができず、サイドからの単調なクロスや無謀なミドルシュートに終始。西野朗監督(56)は「中盤4人の距離感が悪かった」と首をひねり、MF橋本は「無理しなくていいところで打ったり、もう1度つないでいい場面があった」と反省した。

 クラブ創立20周年で目指した「国内3冠」は、夢と消えた。夏場の躍進を支えたFWラフィーニャは、ここにきて徹底マークにあう。不安も残す完敗劇だが、落ち込む暇はない。12日は天皇杯、そして15日には勝ち点4差の名古屋との大一番が控える。「これからプランを考えたい」。唇をかみしめる西野監督の目は、週末の尾張決戦に向けられていた。【近間康隆】