G大阪の新スタジアム計画が大きく前進した。専用競技場の建設地を大阪・吹田市にある万博記念公園内に決め、24日に金森喜久男社長(62)と日本協会の川淵三郎名誉会長(74)が同市役所などを訪問。井上哲也市長に報告書を手渡した。同市の12月議会で承認されれば、来年1月にも建設へ向けた募金活動を開始。最大4万人収容の「世界規模」スタジアムは、13年度末までの完成を目指す。

 自治体との長いパス回しが終わった。G大阪が待望の新スタジアムを、現在と同じ万博記念公園内に造ることにした。大阪・高槻で構想が浮上してから9年越しの夢。金森社長は「4万人へチャレンジしたい」とW杯開催も視野に入れる「世界規模競技場」の建設へ、鼻息は荒かった。

 現在は同公園内の陸上競技場を本拠地にする。収容2万1000人とJ屈指の人気チームには器が小さく、築40年で老朽化。屋根があるのはメーンスタンドの一部でVIP室もないなど、国際的にスタジアム基準が厳しくなる状況でACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の神戸開催を提案されることもあった。

 川淵名誉会長は「関西を代表するチームが、いくら頑張っても2万人。多くの人に魅力的なサッカーを見せてファンを増やしていかないと」と使命を掲げる。建設地は現在クラブハウスに隣接する第1練習場が候補。関係者によれば最低約110億円の建設費用は、メドがついているという。今後サポーターなどからの寄付によって、大型化や最新設備導入へ夢が膨らむ。

 完成後は税制面でのメリットを考慮し行政へ寄付する。吹田市とは年間2億を超えるといわれる土地賃借料や修繕費の負担を巡り、1度は交渉が中断。それでも13年度内の完成を目指すG大阪が再び仕掛けて、ようやく“プロポーズ”をした。金森社長は「雨が降っても心配なく、プロサッカーを存分に楽しんでもらいたい」と思いを巡らせていた。

 ◆G大阪の新スタジアム建設構想

 03年4月に大阪・高槻市で「新スタジアムでG大阪誘致」を公約に掲げた候補者が市長に当選。05年7月にはJR高槻駅近くの京大農場用地跡地に、最大3万人収容の専用スタジアムを11年にも完成させる構想を発表した。しかし農場跡地の移転が進まずに停滞。08年7月には吹田市の万博記念公園敷地内を最有力候補とし、「日本万国博覧会記念機構」に建設要望書を提出した。09年7月に資金150億円、3万2000人収容の建設案を発表したが、維持費の負担をめぐって吹田市と決裂。再び高槻案が浮上していた。

 ◆G大阪の新スタジアムイメージ

 昨年7月に3社の案から竹中工務店が建設することが決定。「サッカーを楽しむ全ての人々を引き付けるOSAKAマグネットスタジアム」をコンセプトに、外観は選手が肩を組んだ円陣をモデルにしている。3階すべてをVIPフロアにし、芝養生のために風の抜け道を設けるなどの工夫が予定されている。