石さん争奪戦が勃発した。J2札幌の石崎信弘監督(53)がJ1山形の次期監督候補に挙がっていることが3日、分かった。山形はこの日、神戸に敗れJ2降格が決定。小林伸二監督(51)は今季限りの退団が濃厚で、経験豊富な石崎監督を招聘(しょうへい)し、再昇格につなげる方針だ。石崎監督と札幌は今季限りで契約が切れるだけに、早急に手を打ち指揮官流出を防ぐ。

 昇格争いを続ける札幌に大きな懸案事項が噴出した。J2降格が決まった山形が、来季新監督候補に石崎監督をリストアップしたことが分かった。現時点で正式なオファーではないが、札幌との契約は今季限りで切れるため今後、具体的な話に発展する可能性は高い。過去複数クラブで昇格争いを経験し、5試合を残した今季も現在3位と昇格争いを継続中。実績十分の名将だけに山形としても、のどから手が出るほど招きたい人材だ。

 札幌としても大事な指揮官を手放すわけにはいかない。札幌矢萩竹美社長(61)は「当然、ここまで石崎監督が積み上げてきたものを今後も続けていってほしい」と続投の意思を示した。クラブ方針が固まり次第、今月中旬にもオファーを検討する構えだ。

 札幌側のネックは来季J1かJ2か微妙だという点だ。想定できる戦力や契約条件、環境に流動的な部分が多いことが足かせとなっている。金銭的ハンディも背負っている。今季、札幌は約9700万円の債務超過になるなど財政面の問題を抱えている。待遇面でも山形小林監督の今季年俸は、石崎監督の倍以上となる約4500万円(推定)。金銭的な争奪戦となれば太刀打ちできなくなる可能性は高い。

 札幌に有利な点は、指揮官自身が北海道や札幌での生活に愛着があること。3年目に入り「かみさんともども、ずっと住んでもいいぐらい好きなんじゃ」と話している。監督サイドの意向を最大限配慮しながら、山形に勝る最善の契約条件を提示し、指揮官流出を阻止する。

 毎年主力が流出する中、地道にチームを育ててきた指揮官を容易に手放すわけにはいかない。昇格を機に複数年契約に踏み出すのも一策。早々に手を打ち、山形との争奪戦にけりをつけたいところだ。