カズがJリーグ王者と古巣サントス(ブラジル)との対戦を熱望した。元日本代表のFW三浦知良(44=横浜FC)が17日、名古屋市内で行われたトヨタ・クラブW杯の抽選会に出席した。自ら準々決勝の抽選を引き、J王者が12月8日の開幕戦でオークランド(NZ)に勝てば、4強進出をかけ北中米カリブ海王者のモンテレイ(メキシコ)と対戦することが決定。開催国枠で出場するJ王者が、メキシコの強豪を破り、自らの原点でもあるサントスと決勝進出をかけて戦うことを強く望んだ。

 カズの願いは1つだ。

 「Jのチームとサントスが当たって欲しいと思っています」。華々しく行われた抽選会の壇上で、迷いなくそう言った。そして無邪気な笑みを浮かべながら、J王者が初戦で対戦する相手に向けて「オークランド・シティの関係者のみなさん。すいません。(J王者とサントスとの対戦を)見たいんです」と訴えた。

 サントスはカズの原点だ。高校を8カ月で中退し15歳でブラジルへ単身留学。苦労を重ねながら、86年2月に初めてプロ契約を結んだのがサントスだった。出番に恵まれず、パルメイラスやマツバラなどを渡り歩いた時も心はサントスにあった。この日も「サントスひと筋なもんで」と思いを口にした。90年に愛する古巣への復帰を果たしたことで、その後ようやく日本へ戻る決意がついた。

 J王者は、リーグ残り3戦で首位の柏、2位G大阪、3位名古屋の3クラブに絞られている。J王者対サントスの夢の実現はクラブW杯初戦を突破し、準々決勝でメキシコの強豪モンテレイを破った先にある。W杯に憧れ、今でもW杯を追い続けるカズは「(国同士の)W杯もクラブW杯も変わらない。クラブは長い歴史の中で(ファンに)愛されている。みんなの思いが詰まった大会になる」。ブラジルの新星FWネイマール(19)擁するサントスと、J王者の夢の対決を心待ちにした。