入団5年目の今季は、5得点5アシストを狙う。J2山形MF広瀬智靖(22)が17日、山形市内で自主トレを公開した。オフ中も精力的に体を動かし、今日18日の全体合流に合わせてきた。「まずはスタメンをつかむ」ことを目標とし、10得点にからむことを宣言した。今夏にはロンドン五輪が開催される。U-23日本代表入りについては「J2ですから」と控えめだが、可能性はゼロではない。成長著しい若手は今年、さらなる飛躍を目指す。

 普段からどんな質問にもハキハキと返答する広瀬。今季の目標を聞かれると「スタメンをとることと、最低5ゴール5アシストですね」といつも通り、堂々と宣言した。室内でのトレーニングとはいえ、極寒の山形でハーフパンツ姿。「今年が最後だと思ってやりますから」と気持ちはメラメラと燃えていた。

 生え抜きの5年目を「勝負の年」と定めるのも無理はない。昨季は主に右サイドハーフとして19試合に出場。小林体制では絶対的な存在だったFW北村の故障を受け、5月から定位置を獲得した。最大の武器である高速ドリブルで、鹿島や横浜といった強豪クラブの守備陣を圧倒するシーンも多かった。しかし、7月上旬に右足首を捻挫。その後はスタメンの座を確保することができなかった。「けががあったんで…もったいなかった。でも今年はやりますよ!」と声を弾ませる。

 活躍の先には、ロンドン五輪も見え隠れする。昨季までは「(世代別)代表を狙いたいですね」と強気だった青年はこの日、「J2ですから…。難しいんじゃないですかね」と慎重。それでも「試合に出ていれば、全くないわけではないですしね」と希望は捨てていない。

 サイドハーフにはA代表にも名を連ねるC大阪MF清武、同じくブンデスリーガのドルトムントMF香川、同ボルシアMF大津ら豪華メンバーがずらり。中でも群馬・前橋育英高時代に何度も対戦した大津をライバル視している。「大津の成立学園(東京)とはよく戦ったし、大津がうまかった印象もある。一緒に遊んだこともあるし、負けたくないですね」。闘志むき出しで立ち向かう。

 広瀬にはU-19日本代表の経験もある。背番号10を背負い、08年のカタール遠征に参加し、ポーランド戦に出場した。数着あった当時の代表ユニホームは現在、1着も手元に残っていない。昨年、チームが行った震災復興支援チャリティーオークションに「過去にこだわりはないんで」と、惜しむことなく「ラスイチ」を提供した。栄光も挫折も関係ない。若武者は未来だけに答えを求める。【湯浅知彦】

 ◆広瀬智靖(ひろせ・ともやす)1989年(平元)9月11日、埼玉・熊谷市生まれ。小1からサッカーを始める。江南南少年団で小5年時に全国大会3位。前橋育英高に進学し、第86回全国選手権では優秀選手に輝いた。08年に山形に入団。同年、U-19日本代表としてカタール遠征メンバーに入った。J1通算39試合1得点、J2通算1試合0得点。独身。174センチ、63キロ。血液型AB。