新生G大阪が「呂比須色」全開で本格始動した。22日、初めての沖縄・石垣島キャンプがスタート。元日本代表FWの呂比須ワグナー新ヘッドコーチ(HC=42)が、いきなり「仲良し集団じゃダメだ!」「こんなんじゃ勝てないよ!」と猛烈ゲキを飛ばし続けた。日本を98年W杯フランス大会へと導いた熱血漢が、G大阪を戦う集団へと変えてタイトルへ突き進む。

 南の島は、横なぐりの雨に見舞われた。周囲の木々が激しく枝を揺らす。そんな雨音と雑音をかき消すように、呂比須HCの大声が練習場に響き渡った。

 「お前ら仲良しすぎだよ。ジェントルマンじゃダメ。もっと激しくやらないと、試合でできないよ!」「こんなんじゃ勝てないよ。もっと声を出せ!」。

 明らかに昨季までとムードが変わった。有能な選手らが淡々と、静かに練習をこなす光景から一変。約1時間の石垣島での初練習は、ずっと呂比須HCの声がグラウンドを支配した。

 「恥ずかしがり屋がいっぱいいるね。(自分を)変な外国人、変な日本人と思うかも知れない。でもボクが声を出せば(選手が)まねしてくれる。やらなければいけないことが、たくさんあるんだよ」。

 毎年、優勝候補に挙がりながら、G大阪のリーグ制覇は05年の1度だけ。紳士的でおとなしいチームは過去何度も勝負どころの試合を落とし、優勝を逃した。遠藤、明神、二川らベテラン勢に加え、今季から日本代表DF今野も加わった。常勝軍団になるために足りないものは何か。それは情熱とハングリー精神だ。

 「何年も一緒にやっている選手でも、どういうパスが欲しいか。声を出さないとダメ。期待が大きいから、結果を出さないとね」。

 やけどしそうなほどの呂比須HCの“熱さ”を、選手も感じた。明神主将は「かなり明るい感じで練習ができた」。今野も「みんなが盛り上げて、キツくてもいい雰囲気でやれた」と収穫を口にした。「脱紳士」を目指し、熱血漢の改革が始まった。【益子浩一】

 ◆G大阪の合宿

 昨季まではグアムで体力強化重視の1次合宿を張り、2月中旬から宮崎・綾町で実戦重視の2次合宿を行ってきた。今年から初めて沖縄・石垣島で29日まで1週間の予定で1次合宿を実施。2次合宿は例年通り、2月11~21日まで宮崎・綾町で行う。同25日にはプレシーズンマッチ鳥栖戦(アウェー)を戦い、開幕に備える。