札幌の新人DF奈良竜樹(18)が、開幕スタメンを確実にした。チームは25日、博多の森陸上競技場でJ2福岡と練習試合を行い0-0で引き分けた。奈良は先発フル出場。ここまでの実戦4戦すべてに先発で出場し、この日も昨季J1の相手を抑え込み初完封に貢献。石崎信弘監督(53)も、クラブ史上初となる新人DF開幕戦(3月10日、対磐田)先発を示唆した。

 奈良が開幕切符を一気に引き寄せた。ピンチもありながら、決定機をつぶし初の完封に導いた。「結果としてゼロで抑えたことは自信になった。(コンビを組んだ)櫛引君ともいい感じでイメージを井有できた」。これで今季実戦4戦連続で先発し、22日関大戦の1本目以降、出場135分連続無失点だ。石崎監督も「奈良は大丈夫じゃ。あとはいい相棒がいれば」と開幕戦抜てきを示唆した。

 ようやくセンターバックの1枚が固まった。これまで石崎監督はノース、河合、櫛引ら複数選手とコンビを替えたが、奈良だけは固定してきた。この日もラインコントロールに課題があったがハーフタイムに櫛引と話し合い「高く保つことにトライした」と言う。試合中の修正だけでなく、後半途中からは指揮官の指示に従い3バックへの移行にも対応。90分間、大崩れなく戦いきった。

 固い決意があった。この日は1学年上で互いにライバルとして認め合う櫛引との初コンビだった。試合前には「内容も大事だけど、まずは結果にこだわろう」と誓い合った。昨季終盤はセンターバックを奪い合ったが普段は仲の良い18歳コンビ。押し込まれる場面もあったが2人で体を張りゴールを守りきった。

 クラブからもビッグプレゼントが用意された。開幕メンバー入りが濃厚になった場合、3月1日の札幌国際情報高の卒業式に出席できない可能性があった。だが4度の実戦で評価を上げ三上強化部長から一時離脱の許可が出た。28日に札幌へ戻り29日の予行演習、3月1日の式に出席して同日中に熊本に戻る。「これからも日々アピールしていかないと」。高校最後のイベントを終え、開幕へのラストスパートに入る。【永野高輔】