公式戦5戦全敗のG大阪が再建に向け、電撃解任を断行した。26日、今季から就任したブラジル人のセホーン監督(61)と元日本代表FWの呂比須ワグナー・ヘッドコーチ(HC、43)らの解任を発表した。後任には現役時代に「ミスターガンバ」と呼ばれた松波正信コーチ(37)が新監督に昇格し、実好礼忠コーチ(39)がHCに就任する。

 開幕からまだ1カ月もたっていない時期での監督交代は、クラブ史上初めて。前日25日の磐田戦に敗れ、リーグ開幕3連敗。ACLも2連敗と未勝利で、我慢の限界だった。23日には選手だけでミーティングを開き「自分たちのやり方でやろう」と確認。金森社長は「(監督に)付いていけないという意味合いを含んでいた」とチームが崩壊状態だったことを認めた。10年の長期政権だった西野体制を昨年末に見限り、満を持したはずの新体制はまさかの短命に終わった。

 今後は93年のJ発足時からの生え抜きで、現役時代はスーパーサブとして途中から流れを変える役割だった松波新監督にチームを託す。同新監督は「この成績をしっかりと認識し、監督ということを真摯(しんし)に受け止めて全力で取り組みたい」。松波ガンバは今日27日に本格始動する。

 またクラブは、責任を取って山本浩靖強化本部長の辞任も発表した。

 ◆松波正信(まつなみ・まさのぶ)1974年(昭49)11月21日、岐阜市生まれ。帝京高2年でエースとして全国選手権優勝。J開幕の93年にG大阪入り。同5月22日市原(千葉)戦でJデビューし、6月9日広島戦で決めた初得点がJ通算100点目。97年はエムボマとの2トップで自己最多13得点を挙げた。J1通算280試合45得点。05年に現役引退し、06年からG大阪ユースコーチ、08年に同ユース監督として宇佐美を擁しJユース杯を制覇した。09年にS級ライセンス取得、10年にトップチームのコーチ就任。

 ◆過去の短命政権

 J1リーグ戦の初采配からの試合数でいえば、C大阪ムズロビッチ監督が04年に開幕2連敗(公式戦3試合)で解任されたのが最短。今回のG大阪セホーン監督の3試合は2番目。C大阪では04年に就任発表されていたナドベザ・ペーター監督が、狭心症のために来日できず契約解除となった特異な例もある。